え? これって精神論? いったい何のための緊急事態宣言なのか。手段と目的とを全く履き違えている。救える命を守るための医療体制確保が目的ではなかったのか。医療現場で働く人たちの「不公平感」も、限界を超えているというのに、「日付で決める」とは……あんまりではないか。

 先週、愛知県内の看護師や医療関係者が労働環境や待遇の改善を訴えたデモで、
 「負担が増えたのに、給料面では何も変わらないし、病院の減収によりボーナスが半額になったりもしたので、『もうやってられない』と辞めた方がいる」
 と看護師さんが訴えていたけど、その声は届いていないのだな、きっと。

先に「ワクチン打ちました」

 その一方で、ワクチンを集団接種するのに医師が不足していることから、医療系人材紹介会社が提示する日給は1日13万円前後で、さらに引き上がる可能性もあるという。

 知人の医師たちによれば「この額は決して高くない」とのことだったが、「1年以上コロナと闘っている現場からしたら、不公平だと思って当然。だって、生活すべてがコロナに拘束されてる。それでも頑張ってやっているのに」と嘆いていた。

 また、某ドラッグストアチェーンの重鎮やら、市長、村長やらによる「先にワクチン打たせろ! 打ちました!」問題も、不公平極まりない“事件”と言えるだろう。

 「でもさ、世の中っていうのはさ、いつの時代も不公平がつきまとうんだよ」といった具合に、不公平は「世の常」と思われがちだ。

 しかし、今、社会にまん延する不公平感は、本来なら最小限に抑えることができたものばかりだ。

 100年に1度のパンデミックはすべての人たちから日常を奪ったけど、その影響は平等ではなかった。そして、今、科学的根拠に基づかない拡大防止策や、対策の不備により、さまざまな不公平が表面化している。公平性=Equityが担保されるから、平等性=Equalityが推進されるのに、公平性がないということは、ますます不平等な社会に向かうことを意味している。

 不公平感には、「知識としての不公平感」と「不満としての不公平感」があり、前者は自分が暮らす社会に不公平な事態が存在しているという認識の程度により生じ、後者は自らが不利益を被った経験に起因する。

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