世界保健機関(WHO)は「利用可能な限られたエビデンスに基づく」という前提の下、昨年8月に「5歳以下の子供にマスクは必要ない」とした。こちらのコラムで紹介したドイツでも(参考コラム)、「6歳以下の子供にマスクの着用義務なし」としている。その一方で、14歳以上には大人同様FFP2マスク着用の義務を課し、違反した場合はかなり高い罰金を払わなくてはならない。つまり、大人がマスクをきちんと着用することで、子供の成長過程への悪影響を最小限にとどめる努力をしている(10万人当たりの新規感染者数により規制のon、offあり。FFP2とは、欧州が定めたEN規格に適合したマスクのこと。米国規格のN95、日本の防じんマスクDS2に相当)。
科学的根拠に基づくマスク着用
もちろんこれはらすべて科学的根拠に基づき、政治家と専門家が徹底的に夜通しで議論して決めたルールだ(以下、子供たちのルール)。マスクについて、
- 14歳以下
マスク着用義務あり、着用場所は大人と同じ。ただし、FFP2マスクの使用義務はなく、通常のマスクや布マスクでもよい - 6歳以下
マスク着用義務なし
登校について、
- 10万人当たりの新規感染者数が5日間連続で100人を下回った場合
全学年で登校可能 - 10万人当たりの新規感染者数が100人を上回っている場合
各学校レベルの最終学年&1つ下の学年のみ登校。それ以外の学年は基本オンライン授業と、週に2日登校といった間引き措置が取られている
国により「できることできないこと」の違いはあるだろう。しかし、マスクひとつとっても、科学的根拠に基づく施策が実施されている国がある一方、この国の施策はどうか。例えば昨年、安倍晋三前首相の在任時に始まった“アベノマスク”の配布などにかかった費用は約260億円だが、その利用率はたったの3.5%だという(資料)。この施策を決断し、しばらくはアベノマスクを使い続けていた安倍前首相でさえ、途中で使うのをやめた。
また、創設が検討されている“子ども庁”創設検討本部のトップは、以前、「食べるのに困る家は実際はない」「今晩、飯を炊くのにお米が用意できないという家は日本中にない」と語っていたお人だが、その真意はどこにあるのだろうか。
最後に、件の調査結果をもう一度引く。この調査では、保護者の29%に中等度以上のうつ症状があったという結果が出ている。
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