1年前、大人たちは「今年(20年)だけは花見は我慢してください」だの「今年だけは連休もステイホームしてください」だのと、「今年だけ」を連発した。だが、今の状況を見よ。大人都合の、その場しのぎの対策により、ますます経済は低迷、家計は困窮し、「コロナ」という大義名分で雇い止めにあった「非正規雇用の親」たちが、ちまたにあふれている。

 小さな子供にもマスクを付けるように仕向けて、その結果として、息苦しそうに歩いている子供たちをたくさん見かけるようになった。子供が感情の機微を学び習得するためには、相手の表情やしぐさ、肌の触れ合いを体験したり、同じ場所で過ごす空気感を感じるなど、五感をフル活用したコミュニケーションが必要なのに、その機会すら失われている。

大人が向き合うべき現実

 昨年、新型コロナの第1波が収まったとき、通勤や出社などが一部、元に戻り、「やっぱりリアルで会うのはいいですね!」と多くの大人たちが感じたはずだ。だがその「いいですね!」と心がホッとする機会が今はない。もう1年以上も「ない」のだ。

 さらに、病気や障害などを抱えている子供の中には、「感染するリスク」を避けるために1年以上学校に通えていない子供たちや、親が非正規雇用で生活に困窮し、満足に食べることができない子供たちもいる。これはお涙ちょうだいのドラマではない。大人たちが正面から向き合うべき、ありのままの現実である。

 そこで、今一度、子供たちの「リアルな声」を聞いてほしい。

 取り上げるのは、先に挙げた「6月の声」の半年後、20年11~12月に実施された第4回「コロナ×こどもアンケート」の内容である(資料)。

 この調査では、「死んだ方がいい、または自分を何らかの方法で傷つけようと思ったことがある」と答えた子供が全体の2割強~3割にも達している。また、小学4~6年生の15%、中学生の24%、高校生の30%にそれぞれ中等度以上のうつ症状があることも明らかになった。

 「コロナ×こどもアンケート」第3回の調査時には、「子供の72%」が何らかのストレス反応を示していたので、そのストレスが慢性化して、生きる力が著しく奪われたと考えられる。

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