(写真:Shutterstock)

 厚生労働省で耳を疑うような“事件”が続発している。

 1つ目は、「怒りを買った組織の末路」だ。
 新型コロナウイルス対策で最前線に立つ厚労省の職員23人が、銀座で送別会をしていた問題で、宴会に参加していた3人と同じ部署(老健局)の3人、計6人が新型コロナウイルスに感染したことが確認された。

パワハラ相談員がパワハラ

 SNSでは、「これでやっぱり大人数の宴会の感染リスクが高いってことが分かったじゃん」だの、「厚労省が自ら少人数・時短営業の効果を証明した」だのと皮肉交じりのコメントが相次いだが、ったく何をやっているのか。
 逼迫している医療現場のリアルや様々なシミュレーションを基にした感染源の特定などを、感染拡大を危惧する専門家たちと共同作業をしている“はず”なのに、「自分たちは別」とでも思っていたのだろうか。

 そして、2つ目は、「パワハラ対策の相談員が、パワハラをしていた」という、看過できない事実だ。
 報道によれば、2017年に元室長補佐の部下だった男性が、暴言などのパワハラに該当する行為を受けたとして昨年(20年)、公務災害を申請し、今年(21年)3月2日付で認定された。男性の上司は、職場でパワハラ対策をする相談員だったにもかかわらず、部下の男性に対し、「潰してもいいのか」「死ねといったら死ぬのか」などと、他の職員たちがいる前で罵倒を繰り返したという。

 男性はうつ病を発症し、昨年、退職。「複数の部署や窓口などに相談したが、どこも機能しなかった」そうだ。一方、厚労省は「パワハラ防止を所管する省として誠に遺憾で反省している。職員への研修を再徹底したい」とコメントし、元室長補佐の給与を1カ月間1割減額する懲戒処分にした。

 続く3つ目の問題も、同じくパワハラである。
 スクープを連発している『週刊文春』が、上司にパワハラを受けていた男性が、事前に準備していたハンマーで厚労省が入る合同庁舎の窓ガラス1枚を派手にたたき割り、そこから飛び降り自殺を図ろうとしたという、かなりショッキングな“事件”を報じた。

 男性は19年春ごろに異動してきた上司から、「簡単な仕事にいつまでかかってるんだ!」「バカか、お前は!」などと、同僚たちの目の前で罵倒され、同年秋頃に体調不良で休職。その後、職場復帰を果たすも、部署全員が受信する業務メールから外されるなどの“いじめ”を受けた。

 部署異動の内示を受けていた男性は、“事件”の起きた当日、同僚たちに挨拶メールを送信。そこには、「上司からのパワハラに苦しめられたことを示唆」する文面がつづられていたという。

続きを読む 2/5 倫理観ではなく組織風土の問題

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