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 「人を切らずに生産性を上げるには、仕事を取ってくるしかないんです。ジタバタしながらもなんとかかんとかやってますけど、受注額、どんどん減らされちゃうんだもの。新しいことをやりたくても、先立つモノがどんどん減らされちゃうんだから悔しいですよ」

 新型コロナウイルス禍で中小企業の厳しい状況が伝えられる中、こう話すのは従業員20人の企業を経営する60代後半の社長さんである。

 「中小企業とひとくくりにするのは、やっぱり違和感がありますよね。以前にも増して、中小企業の(業績好調と不調との)濃淡がはっきりしてきたんじゃないでしょうか。だって、コロナで潤ってる中小は山ほどある。一方で、ウチのように受注額を減らされて厳しい中小も多い」と、社長さんは付け加えた。

「人」に投資する中小企業

 私自身、かれこれ20年近く、全国津々浦々を取材やら講演会やらで訪れて、多くの中小企業を見てきて痛感したのは、「いろんな中小企業がある」という至極当たり前の現実である。

 かわいそうな中小企業はあるけど、中小企業だからといってかわいそうなわけじゃない。大企業よりもうかっている中小企業もある。中小企業=ブラック企業と見られがちだが、大企業なんかより、よほどホワイトな中小企業は山ほどある。

 むしろ社員との距離感が近い中小企業のほうが、「人」を大切にし、「人」の可能性に投資していた。その結果として、生産性を上げている“現場”を何度も見た。件(くだん)の社長さんの会社もその1つだ。

 「中小企業不要論」の火付け役となったデービッド・アトキンソン氏(小西美術工藝社社長)は、
 「企業の規模が大きくなればなるほど、女性の活躍が活発になることが分かっています。大きな組織というのは一般的に、人材が豊富で、人材のマネジメントにも余裕があるので、働く女性ならではの様々なニーズに対応ができるからです。裏を返せば、『中小企業が多い社会』は必然的に、『女性が活躍しにくい社会』になるのです。これは差別うんぬんの問題ではなく、産業構造の問題です」と説く(デービッド・アトキンソン著『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』より引用)。

 しかし、私が知る限り女性が活躍している中小企業はたくさんある。特に、地方の中小企業の中間管理職や経営者を対象にした講演会で、「女性が多いなぁ」と感じることが度々あった。

 実際、女性管理職の割合を規模別にみると、「小規模企業」が平均10.5%で最も高く、規模が小さい企業ほど女性管理職の割合は高い(資料)。

続きを読む 2/5 大企業を生産性で上回る企業も

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