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 雇用環境が厳しさを増している。

 非正規は仕事を失い、正社員の賃金は減り、出勤日を減らされ、50代以上は希望退職を促され……。オリンパス、ホンダなどの大企業に加え、NHKも50~56歳を対象にした早期退職を募集し、管理職を3割減らす方針を発表した。

 2017年のコラムで2020年には「大人の10人に8人が40代以上」で、50代以上に絞ると「10人に6人」と書いたが、いわずもがな、本来、会社とは「人の生きる力を引き出す最良の装置」なのに、その役目を放棄する会社が後を絶たない。「経営とは人の可能性にかけること」なのに、その可能性より目先のカネを優先する。

 そういった状況を踏まえて書いたのがこちらのコラム(「40以上はやる気なし」会社のホンネと消滅するおじ社員)であり、「『〇〇会社の会社員である自分』を優先する働き方から、『真実の自分として生きる会社員』として、会社を利用せよ!」と、これからの働き方について提言した。

 ところが、である。

 会社の役目を放棄することなく、「真実の自分として生きる会社員の可能性にかける経営」を決断した会社が誕生した。60歳を1つの区切りとしつつ、無期限に「会社員」として働け、しかも、2度退職金が出るのだという。

 その会社とは、「三谷産業」。昭和3年(1928年)に創業し、変化することを恐れず、変化に追随するのではなく、変化を起こす側に回ることで生き残ってきた会社である。

人は何のために働くのか

 詳細は追って説明するけど、そこには「人は何のために、働くのか?」という根源的な問いの答えを、会社の制度を変えることで実現しようとする思いがあると、個人的には解釈している。

 そこで今回は、「人は何のために、働くのか?」というテーマであれこれ考えてみようと思う。

 本題に入る前に、ちょっとだけ個人的な話をします。

 私はこれまで全国津々浦々、取材やら講演会やらで1000社以上の会社を訪問させていただいている。

 その中には、「めちゃくちゃいい会社だ!」と感動した元気な会社がいくつかあった。

 元気な会社は空気がいい。会社に足を一歩踏み入れた途端、温かい空気に包まれる。社員はみな生き生きしていて、笑いがある。あいさつが飛び交っている。社長と社員、上司と部下が、互いに敬意を払いながらも心の距離感が近い。そんな「めちゃくちゃいい会社」の1つが、三谷産業とそのグループ会社のディサークルだった。

続きを読む 2/5 安心して働き続けられる職場環境

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