(写真:Shutterstock)

 新型コロナウイルスの感染拡大が長引き、経済も不透明さを増している。

 感染拡大を防ぐためとはいえ、リミット(限界)のない非日常の生活は耐え難い苦痛だ。感染者数が落ち着いていた昨年秋頃には、日常生活を取り戻せるのでは、という一縷(いちる)の光が見えていただけに、今の状況は余計にこたえる。結局、この1年、踏ん張ってハシゴに乗っては急に外され、小道を見つけて進もうとした途端、足を引っかけられ、三歩進んで五歩下がるといった状況が続いている。

 しかも、やっかいなことに、“この感情”は必ずしも、すべての人に共有されない。
 コロナはすべての人たちから平等に日常を奪ったけど、その生活への影響度合いは平等ではなかったことは言うまでもない。

大人がつくった子ども社会の不合理

 友人は、「マンションで人とすれ違うたびに『この人コロナの影響受けてる人』『コロナと全く関係ない人』って、選別するようになってしまった」という。コロナ禍で収入の減った人と増えた人、影響を受けまくってる人とほとんど受けなかった人。コロナ禍であらわになった“コロナ格差”なるものは、今後もますます拡大し、深刻化していくであろう。

 そんな厳しさと並行して広がっているのが、コロナ疲れならぬ“弱者疲れ”。現実逃避だ。

 先行きが見えない状況が1年以上も続き、今ある問題から目を背けたくなる。問題の根っこを掘り下げるより、次への一歩を模索したくなる。そんな現実逃避が広がっている。

 私自身、コラムを書いていても「前向きな話題」だと集中できるのに、「今ある問題」を書いているとしんどくなる。解雇、雇い止め、賃金削減、非正規雇用問題などを取り上げるより、ワーケーションやらリモートやら、DX(デジタルトランスフォーメーション)やらを書いてる方が気が休まる。
 かれこれ14年近く連載を続けているけど、こんな気持ちになったのは初めて。コロナの影響の大きさに自分自身、少々驚いている。

 そんな中、18歳を対象に行われた「教育格差」に関する調査の結果が公表された(「18歳意識調査『第33回 – 教育格差 –』詳細版、日本財団 2021年1月7日」)。

 「子どもは親を選べない」――。

 これは「教育格差」について寄せられた、18歳の言葉だ。
 この調査には「大人がつくった子ども社会の不合理」と、「冷たい雨にぬれた人しか、雨の冷たさが分からない」という悲しい現実が、数字と言葉でつづられていた。

続きを読む 2/5 驚くべき教育格差の広がり

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