個人的な話になるが、私の母もまるで仕事のように毎日通っていた近所の都運営の交流館(体操教室やコーラス教室などに65歳以上が無料で参加できる施設)が20年の2月末から7月までクローズになり、一時期かなり認知機能が落ちた。友人とも会えず、楽しみのおしゃべりもできない。最近はやっと元に戻りつつあるけど、また緊急事態宣言が出たら、と思うとかなり不安だ。

 誤解を恐れずに正直な気持ちを言うと、「コロナ感染のリスク」より「認知機能低下のリスク」の方が深刻だと思う。

 とはいえ、たとえ独り暮らしをしていても母のように家族が近くにいれば、まだ、なんとかなる。

 一番心配なのは、家族のいない独居老人だ。

孤立した高齢者、地方のほうが多い

 もし、このまま介護が必要な高齢者が尋常じゃないペースで増え続ければ、孤独死したり、自ら命を絶つ高齢者が増えたりしてしまうリスクもかなり高いと個人的には考えている。

 実際、宮崎県で誰にもみとられずに亡くなる「孤立死」のリスクが高齢者を中心に高まっていると報じられた(2020年12月22日付宮崎日日新聞『県内「孤立死」リスク増大 コロナ禍家族や地域と交流減』)。65歳以上の独居高齢者の検視件数が、過去最多を更新する見通しであることが分かったという。

 地方は「つながり」があると考えがちだが、むしろ東京より孤立している高齢者は多く、高齢者の自殺の多さも問題になっている。冒頭の時事通信の調査では、(介護保険申請の)「新規(申請)の方が増加が緩やかなのは、支援を求めず悪化を我慢する余力があるためとも考えられる」との指摘するが、「おばあちゃん(おじいちゃん)、介護申請しましょうよ」と声をかけたり、連れて行ったりする“つながり”が欠如していると捉えることも可能だ。

 問題はそれだけにとどまらない。

 ご承知の通り、ホームなどに入所している高齢者も感染リスクを避けるために「閉じ込められる」状況が続いている。高齢者施設に入居している94歳の“友人”に状況を聞いたところ、以下のようなメールをくださった。

 「家族の面会も(2020年)2月から禁止、入所者の外出も通院以外は禁止なので、認知症が進み、廊下を当てどもなくさまよっている人が多くなっています。認知症の入所者は説明をされても理解ができないので、気の毒です。認知症じゃなくても、うつになる人も増えてきました。高齢者同士のおしゃべりも制限されているのです。

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