無理やり、悲しみや不安などのネガティブな感情をなくそうとしたり、減らそうとしたりするのではなく、少しだけ視点をずらして、「元気になる力」や「強さ」を探し、増やしていくことができれば、人間に宿る「ポジティブな機能」が強化される。困難な出来事に遭遇しても、幸せになることができる。
元気になる力とは
その「元気になる力を見つける」ことが2021年の課題で、元気になる力を武器にちょっとだけ踏ん張れば心理的ウェルビーイングは高まってくる。
元気になる力は、環境が個人に与える「外的な力(=外的資源)」と、個人に内在する「内的な力(=内的資源)」に分けることができる。
外的な力は、
・高い社会的評価(収入、学歴、役職など)
・自由に決められる権利(=裁量権)
・人を動かす権利(=権力)
・能力を発揮する機会
・サポートしてくれる人
・信頼できる人
・家族
・お金や住居
・趣味
・衣類・食事
などの社会的資源や物質的なリソースだ。
一方、内的な力は、
・意志力(=人生上の価値観)
・人生における目的(=どんな人生を送りたいかはっきりしている)
・自己受容(=自分と共存しようとする感覚)
・自律性(=自分の行動や考え方を自己決定できる感覚)
・環境制御(=どんな環境でもやっていけるという確信)
・積極的な他者関係(=温かく信頼できる人間関係を築いているという確信)
・人格的成長(=自分の可能性を信じること)
といった認知的なリソースに加え、遺伝的体質や気質も含まれる。
そして、この内的な力を高めることが、心理的ウェルビーイングを高めることにつながってゆく。
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