すると男性から、これまた即行でメールが届いた。
そこに書いてあった内容に、私は小躍りした! でもって、彼の心理的ウェルビーイングの高さを感じずにはいられなかったのである(以下、男性のメールの一部抜粋)。
「今年は大荒れながら私にとっては少しだけ良い一年となりました。
いろいろあって6月に会社を辞めました。コロナ禍で、この時期に、という思いはありましたが、上司と折り合いが悪く、そのままいるという選択肢は持てませんでした。
「仕事は修行です」
いくつかの企業を訪問していたのですが、知人から紹介された会社に『とりあえず見学しておこう』と行ったところ、トントン拍子に入社が決まりました。コロナ騒ぎの最中に、運が良かったのだと思います。
転職先では自分がずっとやりたかったIT関係の部署に配属され、なんとか今まで勤めております。
今月ささやかな賞与が出たので、“ささやかな”シェアをさせていただいた次第です。突然お歳暮をお送りして申し訳ございませんでした!
リストラの大嵐が吹き荒れており、仕事ができない私にいつお声がかかるか分かりませんが……。お口汚しながら河合さんにもと思いましてお送りさせていただきました」
私は……このメールを見て、小躍りしながら涙が出た。
「少しだけ良い一年だった」――という言葉が、うれしくて仕方がなかった。
私はフィールドインタビューの最後に、「あなたにとって仕事とは何ですか?」と必ず聞いているのですが、彼は「仕事は修行です」と答えた。そう。彼の人生は苦難の連続だったのである。
男性は大学を卒業後、外資系のIT企業に就職。ところが、リーマン・ショックでリストラされてしまったのだ。
男性は母親と同居していたので、とにかく稼ぐしかない。そこで雇ってくれる会社、雇ってくれる会社を転々としていたが、あまりの激務にメンタルが低下するなどの苦難が続いた。
家賃が払えず、母親とホームレス生活を余儀なくされる経験もした。生活保護を受けていた時期もある。
私がインタビューさせていただいたときには非正規雇用で働いていたが、通勤に往復4時間以上かかるので、「もう少し家に近いところで会社を探している」と話していた。
Powered by リゾーム?