NHKが全国の医療機関で感染対策にあたる看護師を対象に調査したところ、「医療用の手袋が不足している」とおよそ60%が回答(「しつつある」も含む)。価格が2倍以上になり、病院の経営もギリギリなので入手困難になっているという(12月8日付NHKサイトなど)。

 6月には厚労省が在庫が底を突きそうな医療機関を対象に優先的に配布したけど、全く足りていない。世界的な品不足に加え医療現場以外の「必ずしも必要ではない人」たちが購入しているなど、「必要な人に必要なモノ」が届くようにコントロールできていないのだ。

軽んじられる看護師たちの命

 必要な人も、必要な物も、必要な金も、足りていないのに、現場の人たちには「やる」という選択肢しかない。いつだって不合理のしわよせは現場に押し付けられる。医師も、看護師も、介護士も、保健師も、「労働者」である以前に「人」なのに、「人」として守られていないのだ。

 そんなギリギリの状態で「私」たちを助けるために踏ん張っている人たちに、刃を向ける人たちもいる。あれだけ第1波のときにも、「医療従事者に心ない言葉をぶつけるのはやめて!」と医師たちが声を大にして訴えたのに、今もなお、医療従事者差別なるものが「ある」と知人の一人は断言する。

 大阪府が5~7月に、新型コロナ対応にあたる医療従事者約1200人を対象に実施した調査では、13%が「中等度以上のうつ症状」にあることがわかり、日本赤十字医療センターが4~5月に2000人に行った調査でも、3割が「うつ状態」。

 「人の命は何よりも重い」と誰もが言うけど、医師や看護師の命は? 目の前の命を助けるために奮闘している人たちの命が軽んじられている。医者は聖職でもなければ、看護師は天使でもない。私たちと同じ「人」だ。
 なのに、その“当たり前”が忘れられている。いや、正確には「忘れ続けられている」。

 その結果として、再び医療現場が戦場と化してしまったのだ。

 前述したとおり人手不足の代名詞である看護師だが、看護師の数自体は増えているのに全く足りていないという、日本ならではの問題がある。

 例えば、看護師の数だけを見ると08年の約87万7000人から、18年は約121万9000人で、10年間で約1.4倍も増加している(厚生労働省「平成30年衛生行政報告例の概況」)。
 また、海外と比較しても人口1000人あたりの看護師数は11.8人で、OECDの平均を上回り看護師の数は決して少なくない[Nurses(indicator). doi: 10.1787/283e64deen]。

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