おまけに、会社ではトップ以外のメンバーにはすべて「上司」がいるので、「上司に信頼されていない」と感じている人(=部下にとっての上司)ほど、「部下を信頼できない」傾向が強まり、信頼されていない部下は「私は上司を信頼できない」とモチベーションが下がり、ネガティブスパイラルに入り込む。

結局のところ、「快適、便利、効率的」なコミュニケーションの良さを生かすには、めんどくささと非効率が必要不可欠。矛盾しているように思われるかもしれないけど、「だって人間だもの」。効率性の追求に先にあるのは「崩壊」なのだ。

 信頼は信頼の上に生まれるもの。
 崩壊を防ぐにはどんなにリモートワークに慣れている人の集団であれ、「人と人とのつながり」への投資が必要になる。

 つながりへの投資なきリモートワークは、ほぼ確実にチームとしての機能を低下させる。「1+1=3、4、5……」ではなく、「1+1=1」はおろかマイナスになり、やがてチームは崩壊してしまうだろう。

リモートワーク=「成果がすべて」ではない

 つながりへの投資は確実に信頼を生む。ここでの「信頼」とは、「相手(部下)に課せられた責任を果たすことへの期待」だ。人は信頼されるから「よし!やるぞ!」と思うわけで。信頼の上に信頼は生まれ、不信が信頼につながることはないのだ。

 そもそも上司の役割とは、「上から降りてきた数字の達成」=マネジメントではない。チームメンバーのやる気を上げ、彼らのパフォーマンスを最大限高めることだ。たとえ目標とした「数字」が達成できなくても、定性と定量による分析を使い分けて、メンバーが「よし!もっとできる。自分ならできるはずだ」と、彼らの自己効力感を高められるように仕向けるスキルが必要である。

 定量とは数値目標、定性とは目に見えない、あるいは数値化できない業務上の貢献であり、協調性や積極性などがその代表例になる。

 リモートワークでは、「成果がすべて」とばかりに「数字で評価する」ことにプライオリティーを置きがちだが、実際には逆。定性的な評価をより細やかにして、部下の精神面への目配りもより大切になる。
 「ちょっとちょっと」も「感情の共有」もできないのは、部下たちだって同じだ。あくまでも私の感覚だが、若い世代ほどリモートワークになり「上司からちゃんと評価してもらえるのか?」という不安が高いように思う。

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