さまざまな研究から、リモートでは「部下が本当に仕事をしている」という確信が持てずに、部下への信頼が低下することが分かっている。また、その傾向は女性より男性の方が高いという結果もある(Harvard Business Review「Remote Managers Are Having Trust Issues」)。

 この論文では性差が生じる原因には言及していないが、一般的に男性は女性より非公式のネットワークが多いことや、ハイパフォーマーの男性マネジャーほど、日常の中で周囲とたわいもない会話をする時間を積極的につくっていることが分かっているので、そういった「人たち」と接する時間も機会も消滅するリモートでは、自分のスキルへの確信が揺らいでしまうのだろう。

人のつながりは「感情」から

 いずれにせよ、オフィスで共に仕事をしている場合、「おい、ちょっとあれってどうなってる?」と聞けば、「はい!○○がまだできてないので、今確認中です!」とすぐに“ツーカートーク”ができるが、リモートだと、この「ちょっと!」ができない。

 一見、ささいなことに思われるかもしれないけど、フェイスtoフェイスの世界では、想像以上にこの「ちょっと、ちょっと」の声がけをやっているし、たとえ「ちょっと、ちょっと」と声がけしなくても、部下の様子、顔の表情、周りとの接触の仕方などを、無意識に確認する作業がなされている。

 さらに、「お!これすごいな!」とか「あ~、もう死にそう~!」なんて具合に、誰かが喜怒哀楽をあらわにすると、「うわ!本当だ!」だの「俺も死にそうで~す」などと感情が伝播(でんぱ)し、相手との距離感がグッと縮まったりもする。

 「共に居る」ことで、私たちは何百、何千という情報交換をしていて、特に感情の共有は人がつながるうえで極めて大切な“交換”なのだ。

 ところが、リモートだと「ちょっとちょっと」も「感情の共有」もリアルほどできないため、相手への不信感は募る一方だ。メールの返信がちょっとでも遅れようものなら「サボって、ワイドショーでも見てるんじゃないか?」などと疑うようになる。

 部下は部下で「サボってる」と思われたくないので、いつも以上にメールの返信などのレスポンスを早くしなきゃなとプレッシャーを感じ、「監視するってどうよ~?」と上司に不満を持つ。そんなリモートならではのストレスが、件の調査結果につながったのだろう。

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