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 男性の属性はメールの内容からも分かるとおり、30代の会社員で、雇用形態は非正規、非大卒、未婚。つまり、彼は「30代男性の未婚率8割」という男性問題のリアルを語ってくれたのである。

 これまでも「男性問題」は何度か取り上げてきたので繰り返し説明しているけど、男性問題とは、女性たちの陰で涙する男性たちに代表される「男性への“イメージ”から生じる問題」で、「男性差別」と呼ばれることもある。

2つある「男性問題」

 男性学のパイオニアとして知られる社会学者で京都大学名誉教授の伊藤公雄氏によれば、「男性問題」は次の2つに分けることができるとされてきた。

 1つ目は、従来の「男らしさ」の鎧(よろい)を積極的に脱ぎ、「自分らしさ」を追求する男性たちの問題としての男性問題。例えば、イクメン、主夫、カジメンといった、かつてタブーとされていた役割を、自ら選択した男性たちの生きづらさなどで、これまで私がコラムで取り上げてきた「男性問題」の多くは、このケースがほとんどである。

 一方、2つ目の男性問題は、「男性受難時代」という言葉が意味するモノで、「男らしさ」のイデオロギーが揺らぎ始めたことに気づきながらも、男性優位の意識から脱出することができない不安を抱えた男性たちのことをいう。

 が、件の男性の話からも分かるとおり、男性問題はさまざまな要因が複雑に絡み合っている。特に、学歴がもたらす影響は極めて大きい。

 子供の学業の成績や進学率は親の収入と深く関係しているため、学歴は格差の象徴であり、学歴がさらに格差を生む装置と化している現実がある。

 ところが「大学全入時代」という言葉が間違った解釈を生み出している。あたかもほとんどの人が「大卒」であるかのようなイメージが社会にできあがってしまったのだ。

 実際には、大学などへの進学率は、女性48.2%(短大も加えると57.1%)、男性55.6%で、2人に1人は非大卒である(資料)。