出口:適用拡大というのはまさにそこを突いているのです。社会保険は、もともとは(プロイセン王国やドイツ帝国などの首相を務めたオットー・フォン・)ビスマルクがつくった制度です。

 プロイセンのために体を壊した人を放っておいていいのかという問題意識がスタートですから、まさに社会保険の意義は、体を壊したり、働けなくなったりした人がご飯を食べるためです。日本はその中で一番立場の弱いパートやアルバイトの人たちを厚生年金から適用除外して、自営業者のための国民年金に追いやっているわけですから、このゆがみを正すことが根幹ですよね。

ベーシックインカムか適用拡大か

河合:社会保障の問題でいうと、最近ベーシックインカムが話題ですが、出口さんは、ベーシックインカムについてどんなお考えをお持ちですか?

 私自身は対象を絞ってベーシックインカムを、実証研究としてやってみる価値はあるんじゃないかなとは思っています。自分の能力をもっと発揮させたい、でもそういったリソースにアクセスする時間もお金もない人たちに、ベーシックインカムで生活は保障する。時間というリソースを提供することができれば、そこから新しいものにつながっていくのではないかと。

出口:ベーシックインカムは「AI対BI」ということで、語呂がいいのではやったんだと思いますが、今の日本の社会保障制度を検討すれば、ゼロからベーシックインカムを組むよりは社会保険の適用拡大をやった方がはるかにコストが低くて、みんなのためになると僕は思っています。

 ベーシックインカムは、今ゼロから国をつくるのだったら面白い考え方だと思いますが、こんなにはやったのはAIとBIという分かりやすい語呂合わせだと思います。

コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)


河合薫氏の新刊、おかげさまで増刷が決定しました。全国の書店にて好評発売中です。新型コロナ禍で噴出する問題は、いずれも「昭和おじさん型社会」に起因している? 本コラムに大幅加筆のうえ新書化!

・「働かないおじさん」問題、大手“下層”社員が生んだ悲劇、
・「自己責任」論の広がりと置き去りにされる社会的弱者……
・この10年間の社会の矛盾は、どこから生まれているのか?
そしてコロナ後に起こるであろう大きな社会変化とは?

未読のかたは、ぜひ、お手に取ってみてください。 

この記事はシリーズ「河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

12/15ウェビナー開催、「外食を救うのは誰か」第1回――すかいらーく創業者の横川氏が登壇

 新型コロナウイルスの感染拡大から3年目となり、外食店に客足が戻りつつあります。一方、大手チェーンが相次ぎ店舗閉鎖を決定するなど、外食産業の苦境に終わりは見えません。どうすれば活気を取り戻せるのか、幅広い取材を通じて課題を解剖したのが、書籍『外食を救うのは誰か』です。
 日経ビジネスLIVEでは書籍発行に連動したウェビナーシリーズを開催します。第1回目は12月15日(木)19:00~20:00、「『安売りが外食苦境の根源だ』ファミレスをつくった男が激白」がテーマです。講師として登壇するのは1970年にファミリーレストラン「すかいらーく」1号店を開業した横川竟氏と、外食経営雑誌『フードビズ』の神山泉主幹です。書籍を執筆した記者の鷲尾龍一がモデレーターとなり、視聴者の皆様からの質問もお受けします。ぜひ、議論にご参加ください。

■日程:12月15日(木)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「安売りが外食苦境の根源だ」ファミレスをつくった男が激白
■講師:横川竟氏(すかいらーく創業者、高倉町珈琲会長)、神山泉氏(外食経営雑誌『フードビズ』主幹)
■モデレーター:鷲尾龍一(日経ビジネス記者)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。有料会員以外は3300円(税込み)となります。
※第2回は詳細が決まり次第ご案内します。

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。