出口:動物は明日のご飯のために生きているので、それが原則ですよ。僕が言いたかったのは、年金でご飯が食べられるかもしれないけれど、それは寝たきりへの道だから、プラスオンして働こうということです。河合さんのいわれたご飯のために働くということは、動物では当たり前の大前提条件なので、それで僕はいいと思います。みんな動物はそうしているので。

深刻化している高齢者の格差

河合:なるほど。そうか。そうですね。でも、やはり格差がありますよね。高齢者の格差はものすごく深刻だと思うんです。私は、働くことは人生を豊かにする作業だと考えているんですね。なので、年をとってから働くことには大賛成ですが、その前提として、ある程度貯金があったり、家があったり、家族がいたり、生きていくリソースが必要ではないかと。そのリソースの格差が大きすぎるんです。

 でも、今、出口さんに指摘されて気づいたのですが、私もちょっと思考が固まっていたかもしれないなぁと。とにかく生きるために働かなくちゃいけない、だから働くんだという人を、私自身が弱者呼ばわりしてしまっていた側面もあるのかもしれません。

 でも、それでもやはり、体もしんどいし、できればもう引退したいのに、働かざるを得ない人たちがいるという状況は、超高齢社会に社会の仕組みが適応していない。昭和モデルのままで動いてきた社会の矛盾の一つなんじゃないでしょうか。

出口:普通の人はご飯を食べるために働くのが正常ですけれど、河合さんがおっしゃったような、まさに体を壊して本当は働けないのに働かなきゃいけない、それこそが社会保障の出番で、国の責任ですよね。

河合:はい、そうだと思います。