河合:高齢社会について、ご意見をいただきたいのですが、失礼ながら出口さんは、70代ということでよろしいですよね。

出口:72歳です。でも日本老年医学会と日本老年学会の2017年1月の共同提言によると、高齢者の定義は75歳以上ですから、まだ僕は高齢者ではないですよ。

高齢者とは「80歳以上」にすべし

河合:私は高齢者は80歳以上でいいと思っているんですけど。ただ、4人に1人が70歳以上というような人口構成になり、介護の現場は問題山積です。出口さんから見て、今この超高齢社会の課題を1つ挙げるとしたら何だと思われますか。

出口:簡単ですよ。中央公論新社から『欧米に寝たきり老人はいない』(宮本顕二、宮本礼子著)という本が出ていますが、高齢者は介護の対象という考えが根本から間違えていると思いますね。超高齢社会というのは秦の始皇帝が夢見た不老長寿の世界ですから、人類の理想郷ですよね。

 でも長寿を楽しむためには健康じゃなきゃいけない。健康であるためにどうしたらいいか。お医者様50人以上に聞いたんですけど、全員の答えは「働くこと」でした。だからこそ定年のようなゆがんだ制度はやめて、年齢フリーでみんなが働ける社会をつくろうと言い続けているんです。

 それは労働力の不足とかそんな問題ではなくて、みんな寝たきりになりたいですかと。楽しい人生を送るためには、歩けて遊べるほうが楽しいでしょうと。そのためには働くのが一番だから働きましょうよと。

 第2の人生で遊んでいる動物はいません。人間が動物であることを忘れたことによる悲喜劇が起こっているのです。

河合:でもその一方で、独居老人が増えています。いろいろな事情があって家族もいない、いても頼ることもできない。年金も非常に少なくて、生きるために仕事をしなくちゃいけない70代、80代の人たちがいます。元気に生きるために、人生を豊かにする働き方ではなくて、とにかくあすのご飯を食べるために働かなくちゃいけないという社会は、豊かな社会といえるのでしょうか。

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