(写真:Shutterstock)
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 今回は「声を上げる勇気」について、あれこれ考えてみる。

 先週火曜日(9月22日)、米国のニュース誌タイムが毎年恒例の「世界で最も影響力のある100人」を発表し、テニスプレーヤーの大坂なおみさんとジャーナリストの伊藤詩織さんが選出された。

 ご存じない方のために念のため説明しておくと、全米オープンで2年ぶり2度目の優勝を飾った大坂なおみさんは、人種差別に抗議するため、計7枚の黒いマスクをつけて登場したことが評価された。

 推薦文を書いた米WNBA(女子プロバスケットボールリーグ)のスーパースター、マヤ・ムーア氏は、
 「Believe me: it wasn't easy. It took incredible focus, courage and intentionality to carry herself the way she did. To use her gifts and talents, her voice and her platform, to honor the preciousness of Black and brown lives.」(河合邦訳:「信じて、これは決して簡単なことではありません。この行動には信じられないほどの集中力と勇気、そして、強い意志力が必要なんです。彼女は彼女の持つ才能と、彼女の立場が社会に与える影響力を駆使して、黒人たち(有色人種)の命に敬意を払ったのです」) と称賛した。

初戦で公言した「7枚のマスク」

 個人的かつここで語るのもおこがましいのだが、私自身、「おかしいことをおかしい」と訴え、それについて考えてほしいというメッセージを込めて、コラムを書き続けているので、大坂選手の勇気ある行動には感動し、力をもらった。

 ムーア氏が指摘した通り、「信じられないほどの強い意思」なくして成し遂げられることではなかったと思う。だって、「7枚のマスクを用意した」と初戦で公言したのだ。決勝戦に進出しない限り、7人の名前が世界に発信されないのだ。

 これって……すごい。本当にすごいとしか言いようがない。

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この記事はシリーズ「河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。