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 政権が変わり「地方創生」に期待する声が高まっているけれど、地方創生という言語明瞭意味不明確な理念の中に、「非正規公務員」問題は含まれているのだろうか。

 そこで、今回は「谷間に落ちる非正規公務員」について、あれこれ考えてみる。

 先日、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した4月前後に、少なくとも1都13県で自治体の職員が「過労死ライン超」の、月100時間を超える残業を余儀なくされていたことが分かった。
 月200時間を超えたケースも相次いでいて、山口県では最も長い職員で266時間、福井県では232時間、千葉県では217時間に達していたという(NHK調べ)。

「時間外手当は一切なかった」

 新型コロナウイルスに対応するための業務を担当していた保健所などの職員の多忙ぶりは連日報道されていたけど、「特別定額給付金」の給付なども加わり、その他の多くの職員たちが身を粉にして昼夜問わず働き続けていたのである。

 で、その中には多くの非正規公務員が含まれていて、「残業代=時間外手当」が払われていない可能性が高まっているのだ。

 実際、NHKが5月に放送した特集では、「給付金の申請が殺到し残業は増えたが、時間外手当は一切なかった」というコメントが非正規公務員から寄せられていた。

 特別給付金の給付では、夫から暴力を受けシェルターなどで暮らす女性に、給付金がきちんと届くように手続きを行う必要があった。そこで非正規の同僚2人と、給付金を届けるために今の生活状況などについて一人一人、聞き取りなどを行い書類を作成。対象となったのはおよそ50人で、残業に加え、休日出勤も余儀なくされたが、その分の時間外手当は一切なかったそうだ。

 本来、地方公務員には労働基準法が適用されるので、自治体は非常勤公務員にも残業代を支払わなくてはならない。ところが、これまでも多くの自治体で払われていなかった。

 その理由とされているのが、自治法の規定である。
 自治法204条2項の規定が「常勤職員には手当を支給する」と規定しているため、その反対解釈として「非常勤職員には手当を支給できない」とされてきたという(上林陽治著『非正規公務員の現在~深化する格差』、日本評論社)。