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 この画像は瞬く間に拡散され、「これは一体何だ?」「123便は永久欠番でしょ?」「操作ミスか?」と話題になり、一万回以上リツイートされた。コメントの中には、「以前にも123便を見たことがある」というのも含まれていて、「幽霊では?」と書き込まれるほどだった。

 で、その後の報道で、飛行機が整備場などに向かうときに、実際のフライトと間違わないように任意の便名を付けることがあり、「JAL123」も“たまたま付けられた”ことが分かった。

便名は単なる「数字」ではない

 「整備作業上の理由で任意の便名を設定する必要があったため、0123という数字を使用した。今後は便名設定時のルールを作成するなど、再発防止を図ってまいります。お騒がせすることとなり、大変申し訳ありません」(JAL広報部)、ということだったらしい。

 これを受けて、再びSNSには、
「ってことは、事故を知らない人が増えてるってことでしょ?」
「この投稿で123便のこと知ったって人もいるくらいだから」
「知ってもらえてよかったね」
 などという投稿が相次ぎ、思わぬ形で“事故から35年”という歳月の長さを痛感させられることになった。

 中には「実際に運行してる飛行機と間違っちゃいけないなら、永久欠番の123をつけることは、ある意味安全なのでは?」という意見もあったが、航空業界で働いた経験を持つ一人として、コメントさせていただくと、便名は単なる数字ではない。

 例えば、ANAの「NH001」便は、ANAが長距離国際線として最初期に就航したワシントンDC線の初便に付けられた便名で、私は今でもその「数字」を忘れたことはない。ANAがいまだに「NH」という航空会社コードを使っているのも、ANAの前身が「日本ヘリコプター輸送」であることに由来している。

 私がANAに入社した当時、1週間伊豆山で新人研修があったのだが、「NH」の意味を死ぬほど教官にたたき込まれ、「ANA」という会社を作ってきた先人たちの歴史を教え込まれた。

 当時、私はANAという会社に前身があったことも知らず、NHというコードに「何でANAなのにNH?」という疑問を抱くこともない、ノーテンキな新人だった。なので、教官たちから耳にタコができるほど、美土路昌一氏(初代社長)や岡崎嘉平太氏(第2代社長)たちの「民間の航空会社が国際線の空を飛ぶ夢にかけた思い」を聞き、ANAがいかに厳しい状況に追い込まれても、経営陣たちが社員を大切にしてきたことにえらく感動した。

 と同時に、NH001便が就航するまでの苦労や、就航した後の機内サービスがいかに大変だったかを、ワシントンDCに飛ぶ度に先輩たちから繰り返し聞き、徐々に「ANAのCA」としての自覚が芽生えていったように記憶している。

 であるからして、たかが数字されど数字。「JAL123」という便名が“たまたま”付けられていたという事実に、得体の知れない怖さを感じてしまったのだ。