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(写真:Shutterstock)

 お盆中ではありますが、今年は“通常運転”となりますので、お付き合いいただければと思います。

 今回は「プレ介護」についてあれこれ考えてみる。
 本題に入る前に、プレ介護について説明しておこう。

 これは、私が「父の変化」に直面したときの経験から生まれた造語で、「介護のプロの手を借りるほどではないけど、サポートが必要な状態」のことだ。

 個人的な話になるが、「絶対に100歳まで生きそう〜」と確信するほど元気だった父が、数年前、「ちょっとおなかの調子が悪い」と病院に行ったところ、すい臓がんであることが分かり即入院になった。

 1週間もたたないうちに体力も気力も「おじいちゃん」になり、背中が小さくなったことに私はおののいた。通院で抗がん剤治療をすることになったのだが、その後も次々と色々な変化が起こり、私はかなり疲弊した。

足がすくみ、携帯が鳴るたびにビビる

 当時の私は介護問題を何度もコラムや番組で取り上げていたのに、実際に“雨”に降られ、出口の見えない孤独な回廊に足がすくみまくった。「良かった、もう大丈夫!」と安堵する日と、「ああ、どうしたらいいんだろう」と途方に暮れる日が交互にやってきて、携帯が鳴るたびにビビり、四六時中「親の変化」に拘束されてしまったのだ。

 結局、父は余命3カ月といわれながらも7カ月がんばったが、父と関わった最後の時間の中で、私は「リアル介護」の前のプレ介護状態があることを知った。そして、このプレ介護で離職する人も少なくないのでは?と感じたのだ。

 で、今回。コロナ禍で日常が大きく変化する中で、親の変化に直面した男性の話を基に、介護問題を改めて考えてみようと思った次第である。

 男性は50代後半、メーカーに勤務している正社員だ。現在は独身で、兄妹はいない。ということで、お待たせしました。男性の独白をお聞きください。

 「父親が3年前に死んでから、母は独り暮らしになってしまった。しっかりしていると思っていたんですが、やはり父がいなくなった喪失感は半端なかったみたいで、急に老いてしまったんです。

 なので、盆や正月だけでなく、なるべく帰省するようにしていました。
日帰りするのもかわいそうなので、2泊くらいするでしょ。すると、あれ?ということが結構あったんです。