Zoomなどを使ったWeb会議が主流になれば、相手の顔をじかに見ずに発言することが可能なので、今まで遠慮していた部下たちが、意見を主張するようになるかもしれない。“上司の顔色”も分からないから、「いいね、それ!」などと、同様の意見を持つ人たちが一斉に声を上げ、上司の圧が全くかからない方向に議論も進んでいくことだろう。

 一方で、アナログ世代は、ただでさえデジタル世代に気後れしているので、「違うんだよなぁ」と心の中で思っても、流す。というか、流れていく。“Face to Face”より圧倒的に受け取る情報量が少ないぶんストッパーが利かず、そのときの“空気”がよどむことなく流れていってしまうのだ。

 「忖度(そんたく)する人」も消える。今までなら会議が終わった後に、「課長、あれってやっぱり難しいですよね」などと寄り添ってくれる人がいたけど、モニター越しにはいない。今までなら、こっそりと「ちょっとキミ、あれはどうかなあ……」などと呼び止めることもできたけど、それもできない。部下が画面から「退出」すれば、ジ・エンドだ。

 ふむ。実に健全だ。妙な上司部下関係が消え、正論が横行する。

 が、その健全さがあだとなることもあるだろうし、正論が横行するコミュニティーでは、「自分の立ち位置」が微妙になったりもする。

 だいたい会社で見えていた景色(=部下たちがいる)と、パソコン越しに見える景色が違いすぎるのだ。スーツを着て、満員電車に揺られて、駅ナカで立ち食いそばを食べて、出社して、部下が報告やら相談やらを言ってくるという、今まで自分を形づくっていたさまざまなモノや行動が、この2カ月で変わってしまったのだ。

働き方の変化は早期退職を加速させるか

 しかも、すでに報じられているように、40代、50代をターゲットにした希望退職攻撃が加速する気配が出てきたので、「俺も……」という気持ちになっても不思議じゃない。

 東京商工リサーチは、2020年1~5月に上場企業33社が早期・希望退職を募集したと発表。これは前年同期の約2倍の数字で、19年の年間の件数(35社)に迫るという。

 昨年来、“流行”していた「もうかっているうちに、切っちまえ!」型から、「もう、無理!」型へ。「黒字リストラ」から、「赤字リストラ」が今後は増えてくるのは、容易に想像できる。今回の新型コロナを機に「人が関わる仕事」を減らす動きも加速するだろうから、企業側が退職希望者を募る人数も増えていくにちがいない。

 となれば、件の男性が言う通り、今のうちに辞めた方が得だ。上乗せされる退職金も多いかもしれないし。

 ちなみに、2000年以降で早期・希望退職の人数が最も多かったのはITバブルの崩壊が影響した02年(約4万人)、リーマン・ショック後の09年は2万人超。また、同リサーチによると新型コロナによる倒産は、6月1日までに約200社に達し、20年に1万社が倒産、5万社が休廃業や解散になると見込んでいるという。

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