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(写真:shutterstock)

 「何なんですかね、この感覚。今のうち早期退職した方がいいのかなぁって。管理職とか……よく分からなくなってしまって。私みたいな人、結構、いるんじゃないですか?」

 こうボヤくのは某大手企業に勤める50代の男性管理職だ。彼も、新型コロナ感染拡大防止策で広まった“新しい働き方”に戸惑う管理職の1人だ。「も」だの「1人」だのとしているのは、似たような話を、同じような立場の人たちが、口にしていたからにほかならない。

 「俺って、なんだっけ?」というぼやけた感情と、「次に行くべし」という前向きな感情と、少々言葉は悪いが「カネの損得」とで、「この先ど~しよっかなぁ」と身の振り方を、管理職たちが考え始めた。

 というわけで、とにもかくにも「悩める管理職」代表として、彼の至極曖昧な胸の内からお聞きください。

テレワーク自体は歓迎しているが……

 「テレワークもZoom会議も、別に反対してるわけじゃないんです。むしろどんどんやった方がいい。家で仕事した方がはかどることもある。その半面、在宅勤務を続ける中、たまに会社に来ると、不思議と開放感があって効率が上がる。いっそのこと週休3日にしてもいいんじゃないか、と思ってるくらいです。

 まぁ、これはあくまでも個人的な意見で、会社的には取りあえず『基本は出社』の方向です。流れ的にはテレワークが増えてくるんだろうけど、周りの会社の動向を見てるんでしょうね。日本人らしいですよ。

 ただね、こういう話をすると、メディアってすぐに『おじさんたちが出社派で、若い人は在宅派』って世代間の意識の違いにしがちでしょ? あれって、ちょっと待て!って感じなんですよ。若い人の中にも、テレワーク反対派、結構います。

 書斎もない、通信費もかかる、家にいると家事を手伝わされる、奥さんに怒られる(笑)。妙なもんですよね。コロナ前には散々『テレワークさせろ!』って言ってたのに、いざやってみると、『在宅だと効率が下がる』だのなんだの言って、会社に来たがるんですからね。

 あ、いやね、問題はそこじゃない。……私自身です。

 私には、部下が50人ほどいます。

 部下を育てるのって、結構面白くてね。新しい仕事やちょっと難しい仕事を任せると、思いも寄らないやり方でチャンレジするなど、だんだんと成長するのが楽しかった。

 いつも頭の片隅に仕事のことがありました。部下をどう采配しようかと考えたり、自分もプレイングマネジャーなので結果を出さなきゃならなかったり。仕事の問題は尽きません。ぐっすり眠れる日なんてあんまりなかった」