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 ……とまぁ、数字を立て続けに紹介してしまったけど、とにもかくにも貧困ラインは年収122万円。月々の所得は10万円程度。その生活が、コロナ禍で突然途切れた。今すぐにでもお金が必要なのに、なかなか届かない。いつになったら次の仕事が見つかるか分からないのに、そのあとの支援は決まっていない現状がある。

 個人的には今こそ、「ベーシックインカム(最低限所得保障)」を導入したらいいと考えている。ベーシックインカムの考え方自体は18世紀に生まれたものだが、1980年代以降、格差問題から注目され、「ピケティに次ぐ欧州の知性」と称されるオランダ人歴史学者のルトガー・ブレグマン氏により、さまざまな国で「導入実験」の機運が高まった。

 ブレグマン氏は「Poverty isn’t a lack of character, it’s a lack of cash(貧困とは人格の欠陥によるものではない。貧困は現金の欠如によるもの)」と説き、ホームレスなどは最初から怠惰だったわけではないし、貧困層が薬物をより頻繁に使用するのは、基本的欲求(寝食住)が満たされていないからだと訴えた。

現状はベーシックインカムを再考する機会

 2年前に、こちらのコラムで取り上げ、みなさんからご意見を募集したところ、たくさんの前向きな意見、懸念点などを書いていただいた(参考コラム:「働かなくてもカネがもらえる」から働くんです)。

 残念ながら、サイトが変わってしまいコメント欄が削除されてしまったのでそれを見ることができないのだが、「財源の問題」が多かった。

 ならば、今こそ、困窮している人たちに焦点を絞った追加の経済対策を盛り込み、実証実験も兼ねてやってみてはどうだろうか。

定年後からの孤独入門』(SB新書)


新刊が発売になりました。役職定年、定年後再雇用など「定年」に向き合って複雑な心持ちになったときに、いま一度生きる幸せとは何かを考える本です。
第1章 古戦場巡りで気づく“ぼっち”の世界
第2章 塩漬けおじさんが定年で失敗する理由
第3章 ボッチは定年前から始まっている
第4章 死ぬより怖い「ぼっち」の世界
第5章 人生に意味を作る

健康社会学と700人以上のフィールドワークで分かった「定年ぼっち」に負けない生き方をひもときます。