連絡をくれた方の中には、がんと闘いながら働いていた人もいて、ちょっとした時間の動き次第で誰もが“隣人”と同じ立場になるのだと考えさせられた。

 「業務が激減し、自宅待機となってしまいました。このままだと生活できないので、バイトを探しています。

 私は5年前にがんを宣告され、『治療と仕事とは両立できない』と一方的に契約を解除されました。その後は少しばかりの貯金を切り崩しながら、仕事を探したのですが、がん患者を雇ってくれる会社はありませんでした。

 基本的に長時間の仕事は無理だし、日によって体調の変化が大きい。がん患者であることを隠すこともできません。

 一時、生活保護を受けました。でも、それまで普通に生活していた人間が生活保護を受けるということは、精神的なハードルが高く、自分が情けなくて、メンタルも悪化してしまいました。

 それで1年半前にやっと『がん患者だろうと関係ない』と採用してくれたのが、今の会社です。

やっと見つけた職場もコロナで追われる

 生活はギリギリですが、自分で稼いで生活できることは私の生きる力になりました。なのに、今回のコロナです。

 体を動かす仕事は難しいのですが、スーパーの品出しのバイトなら雇ってくれるところがありそうなので、背に腹は代えられないので思案中です。

 今日は病院に薬をもらうために行ったのですが、待合室にはピタっと肩が触れる距離でたくさんの人が座っていました。ここで1時間以上座っているなんてありえないと思い、薬をもらうことを断念しました。来週、電話診療を受けて処方箋を出していただくことにして帰ってきましたが、交通費がかかるのは正直痛いです。

 私のようにずっと契約社員で生きてきた人間は、がんになること自体人生のリスクなのに、やっと見つけた居場所が、突然、あっけなくなくなってしまうんです。生活保護を受ける状況は絶対に避けたい。いただくお金で生活はできますが、『おまえには生きてる価値がない』と言われているようで情けなくて、地獄でしたから。

 10年前に色々とあり離婚し、子供もいますが会うことはできません。今は残り少ない手元の現金が尽きる前に、仕事を見つけるしかないです」

 こう話す女性はがんが見つかるまで、大手企業の電話オペレーターとして働いていたそうだ。1年半前に採用してくれた会社では、その経験を生かせると「お客様相談窓口」の担当にしてくれたという。

 最大で4~5時間しか体力が持たないという事情も考慮した短時間勤務で、突然の体調の変化にも対応してくれるなど、人の温かさと仕事をする喜びを感じる日々をやっと手に入れたのに……、やりきれない、残酷すぎる。

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