「収入が減少した人に直接給付がいくようにした」(安倍首相)ことには大いに賛同する。だが、そもそもこんな条件で、本当に必要な人に行きわたるか、甚だ疑問なのだ(以下、発表された30万円が支給される世帯の条件)。

 2~6月のいずれかの月収をそれ以前と比べ、
 1.年収換算で住民税の非課税水準まで減少
 2.収入が50%以上減り、年収換算で住民税非課税水準の2倍以下
となる世帯が対象。

 世帯主の月収に関して統一基準を設定してい。単身世帯なら10万円以下、扶養家族が1人なら15万円以下、扶養家族2人は20万円以下、扶養家族3人は25万円以下に減少すれば、非課税水準と見なして給付が受けられる。勤め先の業績悪化でこの水準まで収入が落ち込めば、30万円がもらえることになる。

(注:10日総務省は、収入減少世帯への現金給付に関し、支給基準を全国一律にすることを明らかにした。支給対象となる住民税非課税世帯の水準が、市区町村や家族構成によって異なるため)

 あくまでも主語は「世帯主の収入」なので、妻の収入が無くなり生活が苦しくなっても、もらえない可能性が高い。

 つまるところ、この国を動かしている思考の原理は「昭和の遺物」であり、妻の収入が「ゼロもしくは家計の補助程度」だった昭和を前提に「世界的にも最大級の経済対策」は練られた。

 で、この昭和的発想こそが、今の日本社会の問題であり、社会の仕組みから“こぼれる人”を量産し続けているのだ。

昭和の遺物の思考原理はほかにも

 日々情報がスピーディーにアップデートされているので、記憶が薄れてしまった人もいるかもしれないけど、2月27日に安倍首相が突然表明した「全国すべての小学校、中学校、高校、特別支援学校などへの臨時休校要請」はその象徴である。

 非正規の共働き世帯、シングルマザー・ファーザーはプチパニックになり、非正規の教員は切られ、給食などを提供する小企業は仕事を失い、その余波は感染拡大とともに広がり、フリーランス、介護現場、飲食店などなど、仕事も家も突然失う人たちが続出した。

 差別、罵倒、嫉妬、貪欲、猜疑、憎悪など、あらゆる不吉な虫がはい出し、空を覆ってぶんぶん飛びまわるようになった。パンドラの箱。そう、パンドラの箱をコロナ禍が開けてしまったのだ。

 「小中高を一斉休校した」ことが感染防止策として有効だったかどうかを検証するのは極めて難しい。だが、当時の状況を鑑みればプライオリティーを置くべきは介護現場であり、重症化リスクが高いと報告されていた高齢者だ。

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