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(写真:Shutterstock)

 タクシー事業を営むロイヤルリムジンで、約600人の乗務員全員が解雇されることになった。

 新型コロナウイルスの感染拡大で仕事が減り「休業手当を払うよりも、解雇して雇用保険の失業手当を受けた方が、乗務員にとって不利にならない」(同社)と判断し、乗務員には「感染拡大が収束した段階で再雇用する。希望者は全員受け入れる」と説明しているというが、あまりに衝撃的だ。

 テレビ画面では、長崎県佐世保市の「ハウステンボス」に勤めていた派遣社員が「寮も出なくちゃいけない。数日前まで雇用は大丈夫と聞いていたのに」と途方にくれ、私の周りでも「コロナ切り」は急激に広がっている。

 つい先日まで「新型コロナの影響で視聴率が上がってるんすよ!」と意気揚々としていた知り合いのディレクターが、「来週から仕事が無くなってしまった」と嘆き、「番組企画が立て続けに通ったから、今年の売り上げ早くも達成!」と喜んでいた制作プロダクションの社長さんが、「すべて見直しになってしまった」と肩を落とした。

 個人的な話で申し訳ないけど、私自身「出入り業者の末端感」をまざまざと味わっているので、一向に収束が見えない状況に危機感だけが募る。ホント、どうなってしまうのだろう。星野源さんのギターにのせて、ソファでくつろぐ気分には到底ならない。

ビジネスの現場は深刻な状態に

 新型コロナウイルスによる業績悪化などで、解雇や雇い止めになった人は994人(3月27日時点 厚労省調べ)。また、東京商工リサーチによれば、新型コロナウイルスに関連した経営破綻は準備中も含め45件に上り(4月7日まで)、帝国データバンクが発表した2019年度の「全国企業倒産集計」によると、倒産件数は8480件で、前年度比5.3%増えていることが分かった。

 負債額5000万円未満の小規模倒産が目立ち、全体に占める割合は過去最高の62.3%にのぼり、宿泊業や飲食業などのサービス業、小売業が店じまいを余儀なくされている。

 今後はさらに数多くの業界で、経営基盤の脆弱な零細・中小企業が厳しい選択を迫られることになる。守ってくれる「場」のない非正規社員やフリーランスはますます窮地に追いやられ、住む家も確保できない人が量産され、コロナ問題が長引けば長引くほど、広く、深く、ことによるともう“前と同じ日常”はもどってこないかもしれない。

 解雇の“オーバーシュート”が始まったのだ。

 あおっているわけではない。それほどまでに、現場は重苦しい空気に包まれているのである。