ただ、これを読んでもLINEと締結に至るまでの経緯が分からなかったので、報道発表資料 > 2020年3月 に戻って確認したところ、【2020年3月27日(金)掲載】の欄に、「新型コロナウイルス感染症のクラスター対策に資する情報提供に関する協定締結の呼びかけについて」を発見した。(以下、要約)。

 ──クラスターの発生を封じ込めるため、様々な手段を講じ、発生したクラスターを早期に発見し当該クラスターに対して十分な対策を講じることが必要となる。
(中略)
 ついては、新型コロナウイルス感染症のクラスター対策に資する情報をご提供いただける民間事業者等と情報提供に関する協定を締結し、新型コロナウイルス感染症のクラスター対策の強化を図ることを検討している。賛同いただける民間事業者等におかれては担当までご連絡いただくようお願いする──

 この「報道発表資料」、すなわち「そもそもの調査の目的」と「厚労省が求めていたこと」を知るまでにかかった時間、労力といったら、結構なものだった。もし、これらの「報道発表資料」の内容が周知徹底され、大手メディアを通じて、全国に繰り返し情報提供されていれば、そもそも私のところに「これは何?」と不審に思った人からの情報提供などなかったはずだ。

 この情報の不透明さと伝え方の稚拙さこそが、日本の最大の問題なのだ。

詐欺メッセージまで誘発した調査

 そもそも調査を行う意義は、実態把握だけにあるわけじゃない。調査に「私」が参加することは、「私」が当事者になることを意味する。「各人の行動変容」が求められている今だからこそ、今回のような大規模なLINE調査の情報提供は必要不可欠だった。

 そして、緊急事態宣言に至った「今」、この調査を継続して紐づけて実施することは、極めて重要となる。

 事前に情報提供を徹底すれば、偽メッセージ問題も防げるはずだ。

 ご存知ない方のために補足しておくと、調査が行われた31日、厚労省は「このアンケートを装い、クレジットカード番号等を尋ねる等詐欺が疑われる事案が発生しているとの情報が寄せられている」と注意喚起を促した。とにもかくにもすべてが後手なのだ。

 もう1つ気になる点を加えておくと、、研究者が社会調査を実施する場合、倫理的配慮は厳しく周知されていて倫理審査委員会の審査を要求される。今回の調査でそのあたりはどうなっているのか。調査実施はLINEという民間企業が担うので、倫理的配慮や同意書は必要ないのだろうか?

厚労省にはぜひ、教えてもらいたいものだ。

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