つまり、マークシート方式の試験だけではなく記述式を加えるとともに、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を評価する必要があるとしたのである(詳細は答申書 をお読みください)。

 で、上記の答申書に基づいて決まったのが、「英語の民間試験」「記述式」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」という“3つの目玉”を導入した大学共通試験だった。

 そこで、文科省から業務委託を受けた関西学院大学などが、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」の評価方法を探る調査研究を実施。その内容は、「各大学の入学者選抜改革における課題の調査分析及び分析結果をふまえた改革の促進方策に関する調査研究と『主体性等』をより適切に評価する面接や書類審査等教科・科目によらない評価手法の調査研究」という、めったやたらに長いタイトルの報告書にまとめられている。
※主体性等=「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」

 興味のある人は報告書を読んでいただくとして、サマリーの流れを平たくまとめると、「主体性って一体何なんだ?」「今までの入試で、主体性はどうやって評価されていたのか?」「主体性はきちんと評価されているのか?」「どういう評価方法がいいのかな?」「どんなものなら主体性が客観的に評価できるのかな?」というリサーチクエスチョンを立て、「これ、使えない?」と登場したのが、文部科学省の委託事業でベネッセコーポレーションが開発した「JAPAN e-portfolio(ジャパン eポートフォリオ)」だった。

「調査書」が電子化されるとどうなるのか?

 eポートフォリオには、生徒会や委員会活動、学校行事への参加、部活動、学校以外の活動(ボランティアなど)、留学・海外経験、表彰・顕彰、資格取得、検定合格などの項目があり、そこに生徒が自分でスマホやタブレット、パソコンなどから記録し、教員が承認する仕組みだ。

 本来、eポートフォリオは生徒自身が日々の学習活動を記録・蓄積し、生徒自身が学習を充実させるためのツールだった。

 しかし、2020年度からの大学入試改革で、今まで1枚が基本だった「調査書」の枚数の制限がなくなり、学習と部活の記録のほかに、ボランティアや留学経験、資格取得なども含めた課題活動を詳しく記入しなければならなくなった。

 先生の大きな負担となる→「eポートフォリオ」があれば調査書を作る助けになる→電子化すればもっとシステマチックに処理できるようになる。

 そこで、「調査書を拡充し、電子化し、オンラインで提出できるシステム」を、eポートフォリオでやってしまおうとしたところ、現場からは負担が大きい、教育の不平等につながる、などの意見が相次ぎ、大臣が「見直す方針」を発表したというわけ。

 ……さて、お分かりいただけましたでしょうか?

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