かたや日本はどうだろうか。

 合理的配慮という言葉は使っているけど、いつも通りの「義務」に収まっていて、罰則もない。障害者は10人いたら10通りの障害があり、それぞれに合わせた合理的配慮が必要となるが、実際には「一人ひとりに個別対応は無理」とはなから放棄する企業が多い。

 ・車椅子でも通れるように通路を広げました!
 ・車椅子でも入れるようなトイレを設置しました!
 ・フレックス勤務をできるようにしました!
 ・自分のペースで仕事ができるように簡単な仕事にしました!

 ……などなど“障害者”というグループに配慮しただけ。個人各々には全く向き合ってない。

 障害者で人気があるのは「デキる身体障害者」だと、障害者の人たちは声を揃える。特に、障害者雇用の水増し問題があってからは、デキる障害者の奪い合いが起きているとさえいう。

 時短勤務はオッケーで、なぜ、在宅勤務がNGなのか?

 通勤がなければ仕事が普通にできるのであれば、在宅勤務こそ積極的に進めるべきじゃないのか?
「働き方改革」から障害者は排除されているってことなのだろうか。

誰しも「障害者」とみなされる可能性を持っている

 障害者雇用の問題を取り上げると、「会社は慈善団体じゃない」「障害者でも働けるだけいいじゃないか」だの、「だったらあんたが障害者を雇用する会社をつくれ」だのという人たちがいる。

 だが、社会が生産性にプライオリティーを置く限り、障害者という概念は「正当に働けない人を見分けるためのものでしかない」のだ。つまるところ、バリバリ24時間、いつでもどこでも働ける人以外はみな「障害者」と同じカテゴリーに分類されるとみることができる。

 そうすると、「高齢者」「病を患った人」「働きながら介護している人」「働きながら育児をする人」など、誰もが「障害者」になる可能性があるのではないか。

 「一番苦労してるのは、言葉に出せないけど、お金なんですよ」という彼の悲痛な訴えも、社会の意識の奥底に「生産性の低い人は無駄な人」という思考があるからじゃないのか。

 問題は根深い。ひとつの事例、コラムで解決できるほど簡単なものではない。だが、まずは声にならない声をあげることが大切だと思い、今回取り上げました。

■修正履歴
1ページ目の内閣府の調査を引用したリンク元が「障碍者に対する世論調査」とあったのを「障害者に関する世論調査」に修正しました。 [2020/01/14 17:20]

他人の足を引っぱる男たち』(日本経済新聞出版社)


権力者による不祥事、職場にあふれるメンタル問題、 日本男性の孤独――すべては「会社員という病」が 原因だった? “ジジイの壁”第2弾。
・なぜ、優秀な若者が組織で活躍できないのか?
・なぜ、他国に比べて生産性が上がらないのか?
・なぜ、心根のゲスな権力者が多いのか?
そこに潜むのは、会社員の組織への過剰適応だった。 “ジジイ化”の元凶「会社員という病」をひもとく。

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この記事はシリーズ「河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。