念のため断っておくが、この男性も含め「うつを経験し、障害者になった人」は決して特別な人たちではない。うつを経験した人自身も、「まさか自分がうつになるなんて考えたこともなかった」と話す。彼らは共通して、長時間労働や過剰なストレスで、眠れない経験をしていた。それは「誰もが障害者になる可能性がある」ことを意味する。精神障害は、長時間労働と背中合わせなのだ。

 ちなみに、平成30年版の障害者白書によれば、身体障害者は約436万人(前回調査より約42万3000人増)、知的障害者が約108万2000人(同約34万1千人増)、精神障害者が約392万4000人(同約72万3千人増)。

 これを人口1000人当たりの人数でみると、身体障害者は34人、知的障害者は9人、精神障害者は31人となる。複数の障害を併せ持つ者もいるため、単純な合計にはならないものの、国民のおよそ7.4%(前回6.2%)が何らかの障害を有していることになる。

 内閣府によれば障害者が増えている背景には、高齢化の進行に加え、障害への理解が進んで障害認定を受ける人が増えたことが影響しているとされている。

なぜ、社員に適用されることがダメなのか

 では、先週、男性から届いたメールの内容の一部を紹介する(本人承諾済み)。

 「以前お話しした通り、障害者雇用で働いております。色々な仕事も任せてもらい、裁量権もあります。ところが上司が代わり、対応に憤りを感じご連絡させていただきました。

 今年は寒暖の差が大きいため、天候の変化などで体調がいまひとつ芳しくありません。特に通勤時のラッシュに大きな負荷がかかり、会社に行くだけで疲れ切ってしまうのです。なので、早朝出勤したり、グリーン車を利用したりするなど工夫してきました。

 しかしながら、そういった対応も負担になるので、週2日を在宅勤務にしたいと上司に相談しました。ところが、『障害者雇用枠だから』という理由で却下されてしまったのです。

 うちの会社では働き方改革の一環で、昨年から在宅勤務が可能になり、週2日の運用規定になっています。試験的に全社員(私も含め)、昨年、週3日で在宅勤務トライアルを行ったことがあり、そのときは体調が安定し、仕事の生産性も上がりました。

 トライアル期間では、休日も土日のどちらかを平日に振り替える試みもあり、私にとってそれはとてもありがたいものでした。

 なので、上司に週2日の在宅勤務(火曜と金曜)、休日を月1回は平日に振り替えたい旨を申し出たんです。ところが『検討する』と言ったきり、一カ月も返答がなかった。しかも、その間の勤務形態について『体調が芳しくないなら時短勤務にしろ』と強制的に、時短勤務にさせられました。

 それで先日、上司から呼ばれて『人事と相談したが、在宅勤務の申請は却下する。理由は勤務状況を管理できないから』というものでした。休日の振り替えについても同様に却下されてしまいました。

 問題は通勤時のストレスにあるので、時短勤務にしたところで体調がよくなるわけではありません。

 なぜ、社員に適用されることが障害者にはダメなのか、納得できません。

 でも、食い下がる気力もなく、しかも強制的に時短勤務にさせられたことで、賃金も大幅に減ると言われ、目の前が真っ暗になってしまった。

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