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(写真:Shutterstock)

 今回のテーマは「家族に丸投げするな!」。

 これはテーマであり結論なのだが、取り上げるのは先週問題となった厚生労働省による「人生会議」についてだ。

 センシティブな問題なので、少々長くなるがまずはおさらいをしておく。

 26日、厚労省は患者の終末期にどのような医療やケアを受けるか事前に家族や医師と話し合っておくよう啓発するポスターに、患者団体から抗議を受けたことから、同日予定していた自治体へのポスター発送を中止した。

 ポスターは厚労省が「人生会議」と愛称を付けた取り組みを普及させるために、吉本興業に委託して作成したもので、お笑い芸人の小籔千豊さんが酸素チューブを鼻につけ、病院のベッドに横たわる写真と共に、以下の文言が記されていた。

まてまてまて
俺の人生ここで終わり?
大事なこと何にも伝えてなかったわ
それとおとん、俺が意識ないと思って
隣のベッドの人にずっと喋りかけてたけど
全然笑ってないやん
声は聞こえてるねん。
はっず!
病院でおとんのすべった話聞くなら
家で嫁と子どもとゆっくりしときたかったわ
ほんまええ加減にしいや
あーあ、もっと早く言うといたら良かった!
こうなる前に、みんな
「人生会議」しとこ

 「人生会議」という愛称はACP(アドバンス・ケア・プランニング)の普及を目指し、厚労省が昨年(8月13日から9月14日)に募集。応募総数1073件の中から、愛称選定委員会により選定。また、11月30日(いい看取り・看取られ)を「人生会議の日」とし、人生の最終段階における医療・ケアについて考える日としている。

相次ぐ抗議で啓発ポスター採用が見送りに

 抗議文を提出した卵巣がん体験者の会スマイリーは、「医療の啓発をするのにその当事者や患者の心情を配慮しないなんてことがあってはならないと強い憤りを感じています」とし、「『がん』=死 を連想させるようなデザインだけでもナンセンス」と指摘した

 他にも患者さんなどからも抗議が相次いだとされ、厚労省は「こうしたご意見を真摯に受け止め、掲載を停止させていただき、改めて、普及・啓発の進め方を検討させていただきます」とHP上に見解を掲載した

 また、加藤勝信厚労相は、28日の参院厚労委員会で、「患者や遺族を傷つけるとの意見を真摯に受け止める。伝わり方を常に考えないといけない。もう少し丁寧な対応をしておけば良かった」と釈明している。