また、米国の実証研究では、リストラで平均余命が1年から1年半ほど短くなるとの結果もある。同様の結果は、ノルウェーでも認められていて死亡率は14%上昇する。

 さらに、リストラの影響は「次世代」にも影響する。

 カナダで行われた調査では、父親のリストラがその子どもが大人になったときの年収を9%下げることが分かった。父親のリストラで収入が下がるため、子供の教育費用を減少させたり、父親が不健康になることが子どもの成長に悪影響を与えるのだ。

 これらの結果から言えるのは、リストラが社会に及ぼす影響は広範囲にわたるってこと。本当に「未来を見据える」のであれば、安易にリストラに手を出すのは本末転倒。「今いる社員」が仕事への意欲を高められるような施策を講じることが先だ。

 実際、日本が「世界」の代表と仰ぎみる米国では、社員を長期雇用する企業が増えており、長期雇用におけるプラス面の研究が近年急速に広がっている。

 念のため断っておくが、私は転職したい人のスキルが生かせるような流動性は必要だと考えている。だが、ただ流動性さえ高まれば万事うまくいくみたいな幻想は危険だし、捨てた方がいい。

 どんなに希望退職や早期退職というオブラートに包んだ表現を使っても、その実質はリストラであり、それは1人の人間の人生を大きく翻弄する“刃(やいば)”であり、周りにも悪影響を及ぼす最悪の「経営手段」だ。

 こうした意識が薄らいでいるのは、その凶器に対して鈍感な人が増えてしまったのか、あるいは「自分には関係ない」と思っている人たちの発言力が増しているからなのか。そして、きっと「だから50代はコストが高いわりに働きが悪いことが問題なんだよ!」と、年齢の問題にされてしまうのでしょうね、きっと。

『他人の足を引っぱる男たち』(日本経済新聞出版社)


権力者による不祥事、職場にあふれるメンタル問題、
日本男性の孤独――すべては「会社員という病」が
原因だった?“ジジイの壁”第2弾。
・自分の仕事より、他人を落とすことばかりに熱心
・上司の顔色には敏感だが、部下の顔色には鈍感
・でも、なんでそういうヤカラが出世していくの?
そこに潜むのは、会社員の組織への過剰適応だった。
“会社員消滅時代”をあなたはどう生きる?

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12/15ウェビナー開催、「外食を救うのは誰か」第1回――すかいらーく創業者の横川氏が登壇

 新型コロナウイルスの感染拡大から3年目となり、外食店に客足が戻りつつあります。一方、大手チェーンが相次ぎ店舗閉鎖を決定するなど、外食産業の苦境に終わりは見えません。どうすれば活気を取り戻せるのか、幅広い取材を通じて課題を解剖したのが、書籍『外食を救うのは誰か』です。
 日経ビジネスLIVEでは書籍発行に連動したウェビナーシリーズを開催します。第1回目は12月15日(木)19:00~20:00、「『安売りが外食苦境の根源だ』ファミレスをつくった男が激白」がテーマです。講師として登壇するのは1970年にファミリーレストラン「すかいらーく」1号店を開業した横川竟氏と、外食経営雑誌『フードビズ』の神山泉主幹です。書籍を執筆した記者の鷲尾龍一がモデレーターとなり、視聴者の皆様からの質問もお受けします。ぜひ、議論にご参加ください。

■日程:12月15日(木)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「安売りが外食苦境の根源だ」ファミレスをつくった男が激白
■講師:横川竟氏(すかいらーく創業者、高倉町珈琲会長)、神山泉氏(外食経営雑誌『フードビズ』主幹)
■モデレーター:鷲尾龍一(日経ビジネス記者)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。有料会員以外は3300円(税込み)となります。
※第2回は詳細が決まり次第ご案内します。

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