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 また、EU諸国の中には、原則的に有期雇用は禁止し、有期雇用にできる場合の制約を詳細に決めているケースも多い。

 4割が非正規の今の日本社会ではかなり極論にはなるかもしれないけど、私は一貫して有期雇用のマイナス面を指摘しているので、有期雇用は原則禁止した方がいいと考えている。人間の尊厳のために仕事は必要だし、有期契約のような不安定な仕事は、人間の尊厳を満たすには十分ではない。生きる力の土台をも奪うものだ。

 ただ、その一方で、非正規社員、正社員に関係なく企業とのつながりが不安定になり、同時に企業と働く人との繋がりが重要ではなくなってきていることも否定できない。

 その上で、改めて考えると、働く人が生きていく上で、仕事ができることと、生活を送るのに十分な収入があることを、法律で担保することが極めて重要になる。

 くしくも、厚労省メール問題が浮上したのと時を同じくして、日本企業が持つ「内部留保(利益剰余金)」が7年連続で過去最大を更新したと財務省が発表した。2018年度の金融業・保険業を除く全産業の「利益剰余金」は463兆1308億円で、前年に比べ3.7%も増えていたのだ。

 使わないでため込んでいるくらいなら、まずは非正規の賃金を上げるよう政府は“通達メール”でも出してはどうか。

 あと数週間で消費税も上げられるのだ。

 政府は消費が一向に盛り上がらないと嘆いているけれど、4割も非正規がいるのだから、使おうにも金がない世帯が増えているわけで。徹底的に「労働者を保護する」という観点に立てば、できることはたくさんある。
 変えるべきは「非正規」のイメージではなく、差別的な働かせ方だ。

『他人の足を引っぱる男たち』(日本経済新聞出版社)


権力者による不祥事、職場にあふれるメンタル問題、
日本男性の孤独――すべては「会社員という病」が
原因だった?“ジジイの壁”第2弾。
・自分の仕事より、他人を落とすことばかりに熱心
・上司の顔色には敏感だが、部下の顔色には鈍感
・でも、なんでそういうヤカラが出世していくの?
そこに潜むのは、会社員の組織への過剰適応だった。
“会社員消滅時代”をあなたはどう生きる?