高齢世帯ほど貧富の格差が広がる傾向はかねて指摘されていたが、先週のこのコラム「他人ごとではない老後破綻、60過ぎたら最低賃金に」に書いた通り、一部の高額な資産を持つ富裕層以外は、いつ、なんどき貧困状態になってもおかしくない。
書いているだけで気がめいってくるのだが、緊急に貧困対策を実行しないことには、一億総貧困社会に突入する。一握りの「豊かな高齢者」と大多数を占めるの 「貧困に苦しむ高齢者」に分かれる時代が到来するのだ。
繰り返すが、貧困は社会の問題である。個人の頑張りでどうにかなるものではないのである。
介護施設で低賃金で働く高齢者
実は先週のコラムを公開した後、いつも感想を送ってくださる91歳の“お友達”が、介護施設内で働く高齢者についてメールをくれた。その内容はまさに「高齢者の貧困問題」を想起させるものだった。ここに紹介する。
「定年退職後の低賃金問題は、本当に深刻です。私のホームにも男性3名、女性1名の定年退職者が働いています。いずれも70代で、最高齢者は79歳の男性です。
彼らは時間をもてあまして働いているわけではありません。老後資金が足りないので、生活のために頑張って働いているのです。
正規のヘルパーでも賃金が安い介護業界で、彼らは文字通りの『低賃金』で毎日に耐えています。若いヘルパーは待遇の良い施設を探し、転職していきますが、高齢者にはその気力もありません。なので、黙々とただ働いています。ホームの仕事は重労働ですので、高齢者にはかなりきついはずです。でも、お金がないから頑張るしかない。誰かとおしゃべりするとか、一服いれる余裕もなく、毎日黙々と働いています。
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