さて、いかがだろうが。日本の貧困問題についてはこれまで何度も取り上げてきたが、こんな風に取り上げられてしまうと…、実に情けないお話である。

 ちょうど1年前に、「食べるのに困る家は実際はない。今晩、飯を炊くのにお米が用意できないという家は日本中にない。こんな素晴らしいというか、幸せな国はない」と発言した国会議員がいたけど、国が貧しいわけではないのに、貧しい日本人が多い理由をどう考えているのだろうか。

 日本の相対的貧困率はG7(先進7カ国)でワースト2位。ひとり親世帯に限るとOECD(経済協力開発機構)加盟国35カ国中ワースト1位。日本の母子家庭の母親の就業率は、84.5%と先進国の中でもっとも高いにも関わらず、突出して貧困率が高く、アメリカ36%、フランス12%、イギリス7%に対して、日本は58%と半数を超えているのである(OECDの報告より)。

 生活を豊かにしたくて真面目に働いているのに、働けど働けど楽にならないという現実がある。貧困ラインは122万円なので、月額10万円ちょっとだ。これでどうやって暮らせというのだ。

 人は「これだ!」と確信をいったんもってしまうと、その確信を支持する情報だけを探し、受け入れ、確信に反する情報を探すことも、受け入れることもできなくなるものだが、日本人、いや正確には政治を動かす日本人、はこういった心の動き、すなわち「確証バイアス」に陥っている。あるいは「貧乏人はどうなってもいい」とマジで考えているか。実に残念ではあるけど、そうとしか思えないのである。

貧困高齢者の増加が大きな問題に

 そして、今。シングルマザーの貧困問題以上に、深刻化しているのが65歳以上の貧困である。

 2017年度の生活保護受給世帯数の月平均は164万810世帯で、2016年度の163万7045世帯を3765世帯上回り過去最多を更新。中でも高齢者世帯の増加率は高く、2017年度の月平均数は86万4708世帯で、実に全体の52.7%を占め、2016年度から2万7679世帯も増加している。

 こういった数字を出すと、「それってただ単に65歳以上の人口が増えたからでは?」
と考える方もいるけど、1996年と2015年の生活保護受給率を比較すると、

  • ・1996年は高齢者は約1900万人で、そのうち該当者は約29万人=1.5%
  • ・2015年は高齢者は約3380万人で、そのうち約97万人=2.9%

と明らかに増加し、貧困高齢者は20年間で約70万人も増え、100人の高齢者のうち3人が生活保護受給者となった。

 世帯別にみると、65歳以上の高齢者のいる世帯の貧困率は27.0%で、4世帯に1世帯以上(厚労省「国民生活基礎調査」)。65歳以上高齢者の単身世帯の貧困率はさらに深刻で、男性単身世帯で36.4%、女性の単身世帯では実に56.2%。65歳以上の女性のひとり暮らしでは、2人に1人以上だ。

 2人で暮らしていればどちらかが病気になって無職になっても、片方が稼ぐことができるが、単身だとそれもできない。年金も2人合わせればなんとかなっても、単身だと家賃すら払えない場合もある。
 今後はさらに単身世帯と無年金者が増えるという推計に鑑みれば、生活基盤が不安定な人はますます増える可能性は極めて高い。

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