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 もちろん年金だけでやっていけないことは分かっているし、老後の準備をしていなかったわけじゃない。だが、自分が「実際その年齢」になってみると、生きる時間だけが延びていることを日々痛感する。いわば「一億総将来不安」時代の到来である。

 老後2000万円問題が注目を浴びたのも、こういった心情が関係しているのだろう。

 先日、厚労省の「国民生活基礎調査」が公表され、65歳以上の高齢者世帯の生活が苦しくなっていることが分かった。

 生活意識について「大変苦しい」と「やや苦しい」の合計は、1995年に37.8%だったのに対して、99年に46.1%、2004年には過半数の50%と上昇し続け、10年後の2014年には58.8%まで増加。その後、若干改善したものの、最新のデータでは55.1%で、17年の54.2%を上回る数字だった。

 そんなシニア世代の生活苦と直結しているのが、非正規雇用の増加だ。

 非正規雇用問題は、就職氷河期以降「若者問題」とされてきたが、実際には1950年代生まれの人たちがバブル崩壊後のアジア通貨危機や、リーマン・ショックにより非正規雇用に流れたほか、65歳までの雇用延長が義務付けられ、大量の人たちが非正規市場に流入した。

高齢者の8割近くが非正規雇用に

 2018年に非正規の職員・従業員は84万人増加し、2120万人。役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合を年齢階級別にみると、65歳以上では2018年平均で76.3%(前年より1.9ポイント増)と、シニアの8割近くが非正規で働いているのだ。

 最低賃金レベルで働く人の割合が、この10年で4倍増加した背後にもシニア非正規の増加が関係している。

 2007年には最低賃金=719円に近い時給800円未満の人は、7万2000人だったが、2017年には最低賃金=932円に近い時給1000円未満の人は27万5000人で、今後さらに増加すると予想されているのである。