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 7月7日、西日本新聞が同社の内部資料を入手したとして、「半年以上、新旧の保険料を二重払いさせたケースが2016年4月~18年12月で約2万2000件に上る。意図的に不適切な販売を行っていた可能性が高い」とする記事を公開(「かんぽ保険料、二重払い2.2万件 手当金や営業実績目当て…解約時期遅らせる」)。

 この報道でもう弁解の余地はないと察したのか、翌8日かんぽ生命保険は、契約者が新旧の契約を重複して保険料を半年以上、二重払いしていた事例が約2万2000件あると発表する。

 そして、新契約を結んでから6カ月以内に旧契約を解約した場合(=乗り換え)、営業社員に支給される手当は通常の新規契約の半分として計上されるが、解約までの期間が6カ月を超えた場合は満額受け取れると説明。営業社員が手当を満額受け取るため、「故意にやった可能性がある」とした上で、「再発防止のため、社内での指導や必要な処分を進めている」と、あくまでも「現場の問題」と言い放ったのである。

 ここまで書いていても気分が悪くなりそうなのだが、この姑息(こそく)な説明により、新聞やテレビはもっぱら「社員のモラル」にスポットをあてる報道を連発した。

 一方、SNS上では、

  • 「2016年のブラック企業大賞で、特別賞とウェブ投票賞をダブル受賞してるやん!」

  • 「ノルマが過酷なんだろ!」

  • 「自腹で年賀状を買わせる自爆営業させてるだろ!」

  • 「パワハラで自殺してんじゃん!」

 などと経営陣への批判が殺到し、今回(7月10日)の経営陣の記者会見になったという経緯だ。

問題が発生する原因を直視できない経営陣

 では、記者会見に戻ろう。

 「多数の顧客に不利益を生じさせたことで信頼を損ねた。深くおわびを申し上げる」という謝罪から始まったが、その中身は……本当にひどいものだった。

 当面の改善策として説明した内容に興味がある方は、ググっていただければ各紙の記事がヒットするので、そちらでご覧いただくとして、私が残念でならなかったのは横山社長の、記者からの質問に対する回答と態度である。

  • 「郵便事業で採算がとれないので、金融商品に依存していたのでは?」という質問には、答えない。

  • 「従来どおりの営業で機能してなかったというが、働いている人たちへ何か一言あってもいいんじゃないのか?」という質問も、無視。

  • 「謝罪会見とは思えない。反省の言葉はないのか?」との質問には、憮然(ぶぜん)とした顔で「軽く考えてるわけじゃない」と回答。

  • 「不適切な販売ではなく、不正なのでは?」と問われると、「不適切な販売であり、不利益が発生しているのは直近の調査で分かった。しっかり対処していきたい」と回答。

  • 「経営陣の責任は?」と責められると、不機嫌な顔で「お客様本位のサービスを徹底し、信頼回復に努めるのが何よりも重要」。

  • 「まずいことが起きてるといつ気づいたのか?」と聞かれると、「いつごろかというのは……あの……、疑問を持ち始めたのは……最近」と答えた。

 とにもかくにもひたすら横山社長は「目標の体系が実態にふさわしくないものになっていた」「環境が変わってきた中での高い目標決定があり、目標のあり方が現実にあってなかった」「お客様本位のサービスを徹底する」という文言を繰り返したのである。

 凄まじかったのは、記者から「現場から不正があるという声が上がっていたのに、それを上に伝えられない問題があるのでは? 現場の声が伝わらなければ不正はまた繰り返される」と追及されたときの答えとその態度だ。

 「私が朝会社にきて最初にやるのは私宛のお客様からのご意見、ご要望、社員の文書確認。支社長には現場の声を上げろと言っているが全部は把握できない。なので、私としてはもうちょっと現場を回る、お客様を回るという活動をしておるところでございます」と逆ギレ気味に答え、「ただ、これでも全部が分かるわけじゃないので、吸い上げる仕組みというのは今後も作って参る」と付け加えた。