
知人が、またウツになった。これで3人目。いずれも40代後半の管理職の男性である。
1990年代以降、管理職の死亡率が急増している実態は先日書いたが(「中間管理職がヤバい!死亡率急増と身代わり残業」)、40代のメンタル不全者は2010年以降、急増している(日本生産性本部の企業アンケート調査)。
長時間労働、睡眠不足に加え、仕事の要求度の高さ、さらには時間切迫度などで、ストレスの雨にびしょぬれになってしまうのだ。
が、今回のケースは、それ以外のストレス雲が豪雨を降らせた。
「ここまで自尊心が低下したのは初めて」と語る知人を苦しめたのは、部下。
いわゆる“モンスター部下”だ。
2014年12月に50代の静岡市職員の男性が自殺したのも、モンスター部下が原因の1つだった。
男性は14年4月に市の外部機関に異動となり、計6人の部下を持ったが、部下から業務の指示を巡り「いいかげんにしろ」「うそを言わないでください」などと強い口調で叱責されていたと複数の職場関係者が証言している。
これまで職場のストレスのもとは上司だったが
本人の手帳には「部下から逆パワハラを受けている。バトウやシッセキがあり、席にいてもおちついていられない」と書き残され、異動から約8カ月後の12月24日、職場で自殺するというショッキングな事態となってしまったのだ。
遺族は「長時間労働と部下からのパワーハラスメント(逆パワハラ)」が原因として15年5月に、公務災害認定を申請。男性は1カ月で最長約82時間の時間外勤務をしており、「異常ともいえる職場環境で繰り返し叱責・罵倒され、精神疾患を発症させる強度の精神的負荷だった」と判断。19年6月、地方公務員災害補償基金静岡市支部は自殺を公務災害に認定したという。
これまで職場のストレスを考える上で「最大のリスクは上司」だった。それを象徴するようにキャリア研究や職場組織研究は「上司との関係性」をフォーカスし、上司=パワーある存在としてあの手この手で上司の問題を扱ってきた歴史がある。
が、今や組織内でパワーは上司にあっても、社会的にパワーを持つのは部下だ。
時代は以前にも増して「部下オリエンテッド」。飲み会に誘うだけでパワハラと言われ、その是非がSNSで飛び交うご時世である。
Powered by リゾーム?