介護というと、重労働、低賃金ばかりが問題点として挙げられ、経営サイドも入居者にばかり目を向けがちだが、実際にそこで働く人たちの声に耳を傾けると、働く人たち同士の人間関係、すなわち職場風土の問題を語る人が多い。

 介護をスムーズに行うにはスタッフ相互の情報共有が極めて大切なのだが、人手不足で難しい。その結果、孤独な作業に陥り心理的負担が増える。しかも、365日、24時間の仕事で、夜間勤務もあり、まとまった連休も取れず、ストレスがたまる。

 もっと賃金が高ければ、短い休みでもお金をかけて遊んだりして、息抜きをすることもできるかもしれない。しかしながら、そういった見聞や視野を広げる機会へのアクセスが乏しく、職場の人間関係だけに縛られがち。人間関係が重要になっていくのである。

スタッフの雰囲気は悪くなかったワタミの介護現場

 ワタミは世間的にはたたかれたが、社員旅行などにはかなりのお金をかけ、社員の結束づくりには積極的だった。

 痛ましい事故は「見守り不在の時間が1時間以上もできしまったこと」が原因で、弁解の余地はない。

 だが、現場の人たちに話を聞くと、「人間関係が良かったので辞める人は少なかった。社員を結束させるというトップの心意気が社員に生かされている部分はあったんだと思う」という意見は決して少なくなかった。

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