……ふむ。なんなのだろう。このモヤモヤした気持ち。

 私は最初日経新聞の記事を見たときに「4000人削減」という人数には驚いたが、「介護やセキュリティー事業への配置転換」という内容に否定的な感情は1ミリも湧かなかった。

 私はこれまで精神的なプレッシャーをかけて追い出そうとする企業のやり方を強く批判してきた。ジワジワと陰湿なことをするくらいなら、正面切って言え、と。

 その一方で、10人中6人が50代以上となる時代に、50代以上の社員をうまく使った企業が生き残るとも訴えた。その上で雇用延長した場合に、昨日と全く同じ仕事をしているのに給料だけが激減することの理不尽さと、チームの力関係が変わることへの心理的負担を指摘し、ベテランの経験を生かせる新しいチャレンジができる仕組みが必要なのでは? という持論を展開し、それに賛同する人は多かった。

マネジャーとしての手腕が必要とされる介護現場

 今回の損保ジャパンの方針はまさに新しいチャレンジではないのか。労働環境に課題の多い業界だけに、大手金融機関で蓄積してきた知見が移った先で生かせると思うのだ。

 損保ジャパンの親会社SOMPOホールディングスは、15年12月に外食大手ワタミの介護子会社「ワタミの介護」を買収したほか、16年3月には介護大手のメッセージも子会社化し、業界トップに君臨するニチイ学館を僅差で追いかけている。

 ワタミの介護では入所者が溺死する事故が、メッセージでは介護職員による転落死殺人事件という痛ましい事件があったが、どちらも大手だったため、現在SOMPOホールディングスは、老人ホームの数(全国321拠点)と居室数(13万9907室)で、規模としては介護業界最大手だ(2019年4月末時点)。

 これだけ多くの介護現場を仕切るには、鳥の視座が必要不可欠。
 心理的にも肉体的にも負担の多い介護の仕事は、マネジャーとしての手腕が最も必要とされる職場と言っても過言ではない。

次ページ スタッフの雰囲気は悪くなかったワタミの介護現場