
今回は「プライド」について考えてみる。
6月末に報じられた損保ジャパンの4000人削減策について、批判と「おお!この手があったか!」と称賛の声が殺到している。
ことの発端は6月24日の夕方に公開された日本経済新聞のイブニングスクープだった。
「損保ジャパン、国内4000人削減 IT活用で効率化」と題された記事は、瞬く間にSNSで拡散した(以下抜粋)。
メガバンクが相次ぎ人員縮小を打ち出す中、損害保険ジャパン日本興亜が2020年度末までに、国内損保事業の従業員数を4000人減らし(17年度比で人員の2割弱)、
- IT(情報技術)の活用で生産性を高める
- 新卒採用を絞る
- 介護やセキュリティー事業への配置転換も進める
- 希望退職は募集しない
といった方針を取ることが分かった。
これにより21年度に100億円規模の収益改善効果を見込むが、今後は主力の自動車保険も変化を迫られるため事業の効率化を急ぐ、らしい。
介護現場への大量配置転換に批判の声が上がったが
この時点では、タイトルだけに反応した人が多かったのか「4000人も切るのか?」という嘆き声ばかりだったが、この報道とほぼ同時に公開された時事ドットコムでは「損保ジャパン、4000人削減=ITで効率化、介護分野などに配転」と題し、「余った従業員は介護などを手掛けるグループ企業に配置転換する」と、“余った”というかなりトゲのある言葉にSNSは反応。批判は一気に「余った人は介護へ」に集中した。
「これって新手の追い出し部屋でしょ?」
「ひっどい話だよ。損保マンから介護って。露骨すぎる」
「今後はこういう手口を参考にする会社が増えるだろうね」
「そのうち介護と警備のどっちにしますか??とかなるんじゃないの?」
といった否定的な意見が殺到したのである。
メディアもこうした論調に乗り、「見事としか言いようがない洗練されたスキーム」「職業差別を利用した高度なテクニック」などの専門家のコメントを掲載し、
- 自主退職してくれればもうけもん
- 転籍させれば給与を介護業界基準まで下げることができる
- 希望退職の募集はしないので特別退職金を払う必要もない
- 人手不足も補える
といった企業側の利点を紹介。 今回のやり方を「残酷物語」としたり、「管理職の肩書を与えられても、実際には入所者の排せつ物の処理などの業務をする場面も当然出てくる」とコメントしたりする識者もいた。
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