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(写真:shutterstock)

 今回は「塩漬け」について考えてみる。

 といっても美味(おい)しいらっきょうの塩漬けやら、白菜の塩漬けの作り方について書こうってわけではありませぬ。
 “組織への塩漬け”である。

 「お恥ずかしながら、私、この歳になって出社拒否になってしまって。だらしないですよね」

 こう切り出した男性は某大手企業の元常務。63歳で定年となり、8カ月後に再就職。これまでのキャリアを買われての就職だったそうだ。

 男性の話は実に興味深く、私自身、改めて「社会的地位」「シニア」「再就職」の難しさを痛感したので、みなさんにもご意見をいただこうと思った次第である。

 というわけで、まずは男性が直面した“リアル”からお聞きください。

定年後、関連会社に再就職できたのだが‥‥

 「定年になったらやることがなくなって“定年うつ”になるって脅されていたんですが、私の場合は幸い次が決まってたので大丈夫でした。

 息子が海外に留学してるんで女房とゆっくり海外旅行したり、97歳の父親のいる実家に帰ったり。女房も専業主婦なので、私の自由時間に付き合ってくれましてね。

 みんな定年になると奥さんともめるっていうのに、まぁ、8カ月ですから。我慢してくれたんでしょう。

 再就職先は関連会社です。

 以前は、いわゆる天下り先だったんですか、10年くらい前から積極的に同じ業界からシニア採用をしていましてね。私のように定年組や、早期退職してきた人も結構いて、昔の上司が呼んでくれたんです。

 受け入れ体制はきちんとしていて研修期間もあるし、シニアも戦力としてみてくれると聞いていました。給料は下がりますが、本人の能力次第では70歳までいられるんです。

 私は記憶力や体力は低下したけど、気力と仕事の質には自信があった。自分はまだまだできると思っていたので、自分のキャリアを生かしてがんばろうと張り切っていました。

 ところが‥‥半年後に出社拒否です。完全にメンタルをやられてしまったんです。