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 本来であれば経営陣が経営判断として、業務量の調整、効率化に乗り出すべきなのに、中間管理職の上の人たち=上級管理職に「ひとつ、よろしく!」と押し付ける。

 前述の男性の会社では、「部下の残業量は上司の無能のパラメーター」と言わんばかりに、「無駄な仕事を効率化する」という明確なミッションが管理職に課せられていて、業務を減らす権限はないのに、効率化だけを任されるという、なんともトンチンカンな事態が横行しているのだという。

 いずれにせよ、“日本株式会社”の歴史は「管理職の命」と引きかえに発展してきたと言っても過言ではない。

 1970年代後半に中小企業の管理職層で心筋梗塞発症が急増した「過労死=KAROSHI」も、まさにそれだった。

 第1次オイルショックで景気が冷え込み、国は企業に助成金を出すことで雇用を守った。ところが、助成金で不景気を乗り切った企業が、その後の景気回復に伴い人を増やすのではなく、少ない人数で長い時間働かせることで生産性を向上させるようになる。

 このとき生まれたのが「残業」という概念である。

残業という非日常が日常になってしまった

 その後も「メード・イン・ジャパン」の需要は拡大しつづけ、企業は残業ありきで従業員を雇い、賃金も残業ありきで定着。やがて1990年代に入ると精神的なストレスでうつ病などの精神障害に陥った末の自殺である「過労自殺」が急増する。

 会社を生かすために、管理職の生きる力が奪われていったのだ。