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 件の中間管理職男性は続ける。

 「もちろん業務の効率化も進めてはきました。でも、お客さん相手の現場は変えられないんです。今までやっていたことを『できない』とは到底言えません。

 残業はこの1、2年で倍増しました。月100時間なんてのもザラです。

 しんどいですよ。ただ、私たちの世代は残業やってなんぼで育ってきましたから、精神的な負担はさほどない。部下に長時間労働させて、万が一を心配するくらいなら自分でやった方がましです。

 でも、健康不安はかなりあります。

 つい先日も、大学時代の先輩が朝ランニングに行ったきり帰ってこなくて奥さんが心配してたら、途中で倒れて病院に運ばれてました。そんな話を聞くと、やはり怖くなりますよね。

 働き方改革を進めれば進めるほど、自分たちの首を絞めているような気がします。ここまでして残業を規制する必要があるんですかね。体を壊すまで残業するのは本末転倒ですけど、そこは自分でコントロールすればいいと思ってしまうんですけど。あ、こういうこと言ってしまうのが、昭和の価値観なんですかね?」

残業規制だけでは何も解決しない

 ‥‥“部下の肩代わり残業”とは、なんともやるせない事態だが、男性はどこか他人事だった。残業を嘆きながらも、残業規制を批判するという、この世代によく見られる複雑な心情が垣間見られたのである。

 そもそも残業削減が働き方改革の代名詞になっているけれど、残業ありきで成立している企業で「残業削減」だけに手をつけたところでできるわけがない。