• 【収入と支出】
  • ・バブル崩壊以降、年齢層別にも、時系列にも、高齢の世帯を含む各世代の収入は全体的に低下。
  • ・支出も伸びていない。30代半ばから50代にかけての低下が顕著であり、65歳以上は、過去と比較してほぼ横ばい。
  • ・60代以上の支出は、現役期とくらべて2~3割程度減少。
  • ・高齢夫婦無職世帯の平均的な毎月の赤字額は約5万円。

  • 【退職金】
  • ・退職金給付額は減少。
  • ・平均1700万円~2000万円程度で、ピーク時の約3割から4割程度減少。
  • ・退職金給付制度がある企業の割合は、1992年度の92%から、2018年は80%に低下。
  • ・転職や副業、フリーランスなど、若者の間で広がっている働き方は、長く働き続ける可能性を高める一方で、退職金を受け取れない、もらえても少額になる。

夫婦で毎月5万円不足する暮らしが待っている

  • 【就労状況】
  • ・65歳から69歳の男性の55%、女性の34%が働いていて(2016年)、世界でも格段に高い水準。
  • ・60歳以上で仕事をしている者の半数以上が70歳以降も働きたいと回答。
  • ・高齢者の体力レベルは過去より格段に高い。
  • ・思考レベルも高く、60歳から65歳の日本人の数的思考力や読解力のテストのスコアはOECD諸国の45歳から49歳の平均値と同じ水準。

  • 【今後の予測】
  • ・夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では、毎月の不足額の平均は約5万円。余命を考えれば、不足額の総額は単純計算で1300万円から2000万円。
  • ・今後は自分自身の状況を「見える化」し、就労継続の模索、支出の再点検・削減、そして保有する資産を活用した資産形成・運用といった「自助」の充実を行う必要がある。

 ……といった現状と今後の予測から、報告書ではさらに、

  • ・個々人にとっての資産の形成・管理での心構え――現役期、リタイア期前後、高齢期
  • ・金融サービスのあり方――「自助」充実に応じたコンサルティングの強化、認知能力が低下した者に対する資産の運用・保全向けの商品・サービスの充実など

といった提言とともに、具体的な金融商品が例示されていた。

 その中には金融庁が「貯蓄から投資へ」を掲げて推進している「つみたてNiSA(少額投資非課税制度)」も含まれていて、個人のカネを金融市場に回して活性化したい思惑がみえみえだった。

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