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 働いても働いてもいっこうに生活が楽にならず、子どもと向き合う時間もないシングルマザーたちは、「パートは所詮主婦。男性正社員とは身分が違う」という“当たり前”のもと、「主婦の家計補助的な働き方」に分類された人たちである。

 日本の母子家庭の母親の就業率は、84.5%と先進国の中でもっとも高いにもかかわらず、就業しているひとり親世帯の相対的貧困率が、日本では54.6%とOECD加盟国平均の21.3%を大幅に上回っているのは、いったいなぜ?(『Educational Opportunity for All』、OECD)。

 くしくも、2018年の女性の就業率が全年齢ベースで51.3%となり、50年ぶりに5割を超えたことがわかった。

具体的には、
・女性の就業者は前年に比べ87万人増え、男性の45万人に比べ2倍近く増加
・25~34歳が77.6%で、前年より1.9ポイント増加
・35~44歳は75.8%で、前年より2.5ポイント増加
とこれまで子育てで仕事を離れがちだったミドル層も軒並み上昇した。

『出所:「平成30年労働力調査」(総務省統計局)』

 ところが雇用形態別には、男性の場合、正規雇用が29万人増え、非正規は22万人増だったのに対し、女性では正規雇用が24万人増え、非正規は62万人増。圧倒的に非正規が多く、男性の非正規雇用の実に3倍近くだったのである。

 現在働いている人の3人に1人が非正規雇用だが、女性に限ると2人に1人。

 正規雇用の場合、男性の平均年収は547万円なのに対し、女性は376万円。非正規では、男性229万円に対し女性はわずか150万円。

 男性を100とした場合の女性の賃金は73.4で、これも先進国では最低レベルだ(2017年賃金構造基本統計調査)。

 繰り返すが、女性が働くことも、「働きたい」とひそかに思っている専業主婦が「やっぱり働こう!」と背中を押されるような政策は大歓迎である。

 だが、「無職の専業主婦」というワードが、国の年金制度を語る記事の中で堂々と使われるのは、正社員の既得権益を守るための単なる“コマ”として使われているようで釈然としないのだ。

 以前、参加させていただいた労働問題を意見する場で、パートの賃金の低さを指摘され、

「賃金の違いは差別ではない。能力の違いなんだよ」と答えた男性がいた。

 身分格差の次は、能力格差‥‥か。能力ってナニ? だれかぜひとも教えてほしい。

『他人の足を引っぱる男たち』(日本経済新聞出版社)


会社員消滅時代、あなたはどう生きる?

権力者による不祥事、職場に溢れるメンタル問題、
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原因だった? “ジジイの壁”第2弾。
・なぜ、優秀な若者が組織で活躍できないのか?
・なぜ、他国に比べて生産性が上がらないのか?
・なぜ、心根のゲスな権力者が多いのか?
そこに潜むのは、会社員の組織への過剰適応だった。
“ジジイ化”の元凶「会社員という病」をひもとく。