「『氷河期世代』に能力開発を、って変ですよね? 」

「(笑)本当だよね。能力の問題じゃないでしょ。企業の都合で非正規雇用になっただけ」

「そうそう。40代の非正規スタッフの能力は高いですよ。正社員が仕事を教えてもらってますから、うちの会社は氷河期世代の非正規スタッフなしには回らない」

「若者活用とかで、若い世代にはチャンスは与えられているけど、結局上司はフォローしないから40代の非正規の人たちが彼らにノウハウを教えています」

「現場がどれだけその『氷河期世代の非正規』に頼っているか。そのことを知らない人たちが言ってるんでしょ」

「それに無期転換ルールとかができてしまったせいで、今後は雇い止めされるケースとか出てきそうだし」

といった意見が相次ぎ、一部の業種や企業では、正社員に代わる存在、あるいは特定の技能や知識によって事業に貢献する存在として捉えられていたのである。

 そんな「現場の力」を、人=コストとしかみない企業は、雇用調整のために活用し続けている。いや、それだけではない。

 正社員は雇用保険・健康保険・厚生年金の加入率は99%超だが、非正規では雇用保険65.2%、健康保険52.8%、厚生年金51%と低く、失業期間中の生活の保障がされていないのだ。雇用されている間も、雇用を切られたあとも、常に「不安定」がつきまとう(https://www.nissay.co.jp/enjoy/keizai/kako/65.html)。

 これまでにも散々、非正規の雇用保険問題は指摘され続けているのに、実効性のある政策は取られなかった。その結果、何が起こっているか?

 雇用保険に未加入あるいは受給経験がない非正規の人は、加入あるいは受給経験のある非正規よりも正規雇用への移行確率が低くなっていたのである(非正規雇用から正規雇用への移行要因―『全国就業実態パネル調査』を用いた分析―)。

 もちろん上記の調査は、正規雇用に転職できた人の要因を分析しただけであり、「転職するのに自己啓発に取り組んだか?」「転職するのに資格を取得するなどしたか?」を直接的に聞いたものではない。

 だが、自己啓発にいそしむのに「カネ」は必要不可欠。生活の基盤も担保されない状況で、どうやって「再チャレンジ」に投資すればいいのだ? どうやったら「人生再設計第一世代」になれるんだ?

 

 もし、「採用側のニーズに即した能力開発の期間の交通費や日当を支給しますよ!」というのなら、「じゃ、がんばってみるか!」という気持ちになれるかもしれない。そこまで国は“骨太”に支援してくれるのだろうか。