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厚労省は現在、「オンライン診療」の見直しに関する検討会において、アフターピルの処方についても議論している(写真=Shutterstock)

 今回は「アフターピルと女性活躍」について考えてみる。

 「おいおい! おじさん、いやいや男性読者が多いこのサイトで、いきなり“ピル”かい?!」と訝しがっている人もいるかもしれないが、はい、間違いありません。ピルです。

 アフターピル(緊急避妊薬)は、避妊に失敗したり、同意のない性行為で避妊ができなかったりした場合、妊娠を回避する目的で事後に使うもので、海外では「Plan B」とも呼ばれている。そのアフターピルの日本初となるジェネリック薬の製造販売が承認され、今月中に販売される見通しなのだ。

 ここで本題に入る前に、日本が「ピル後進国」と呼ばれる歴史を振り返っておこう。

 日本でピル(低用量経口避妊薬)が認められるようになったのは1999年。これは米国に遅れること約40年で、世界的に見ても最後尾グループ。議論自体は55年から始まっていたので、「承認」という2文字の言葉を取り付けるのに、44年もの歳月がかかった計算になる。

 立ちはだかったのはまさしく「ジジイの壁」。「副作用があるだろ!」だの、「安全性に問題があるだろ!」だの、「女性の生理機能を狂わすのはおかしい!」だの、変化を拒み、責任回避を優先する“センセイ”たちから否定的な意見が相次ぎ、どんなに「重大な副作用はない」と医学的エビデンスを示そうとも見向きもされなかった。

 では、いったい何がきっかけで、「承認」に至ったのか?

 あくまでも憶測ではあるが、その背景には、「バイアグラ」の存在が指摘されているのである。

 今となっては懐かしささえ感じるこの言葉だが、「夢の薬」と呼ばれたバイアグラは、新薬の承認が異常に遅いとされるこの日本で、まさに「夢のような速さ」で承認されたことを覚えているだろうか。

 たったの6カ月。98年7月に申請され、翌年の1月に承認されるという驚くべき“早ワザ”だった。

 当時、海外では、処方後に123人の死亡例が米食品医薬品局(FDA)に報告され、日本でも友人からもらったバイアグラを服用した男性数名が亡くなっていたにもかかわらず、「因果関係が明らかではない」との理由から、米国での販売から1年も待たないうちに厚生労働省は承認。それに後押しされる形で、「避妊目的」の経口用ピルも承認されたと言われているのである。

 しかしながら、“一応”解禁されても依然として「ピル後進国」。多くの国では市販化されているのに、日本では処方箋がないと購入できない。19カ国でカウンター越しに売買され、76カ国で薬剤師を介して買えるのに(出典:International Consortium for Emergency Contraception)、日本では「72時間以内に飲まないと効果がない」この薬を、産婦人科などで医師の診察を受けない限り飲むことができない。

 2017年に厚労省で検討会が設置され市販化が議論されたときのパブリックコメントでは、全348件中、賛成が320件、反対はわずか28件だったにもかかわらず、
「安易に販売されて悪用されたらどうする?」
「薬局で薬剤師が説明するのが困難」
「性教育が遅れている日本では時期尚早だ」
といった意見が相次ぎ、全会一致で否決されてしまったのだ。