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大阪市教育委員会が、市内の小中学校の校長の人事評価に、生徒の学力を測る目的で府や市が実施している独自テストの結果を反映する方針を固めたと報道された。愚策……以外の何物でもない。(写真はイメージ/Shutterstock)

 今回は「働かされ感」についてあれこれ考えてみようと思う。

 なんとも唐突なテーマなのだが、私の中ではかなり前から温め続けていたネタ。いつか書こうと思いつつも、どんな言葉で、どんな風に綴ればいいのかが固まらずで。要するに、自分の中で十分に噛み砕けていなかったのである。

 が、物議を醸している「大阪市の校長評価」に関する報道やら、記事やら、コメントやらをボ~ッと見ていたら、散在していた点と点がつながった! というわけで、今回取り上げようと思った次第だ。

 先月29日、大阪市教育委員会が、市内の小中学校の校長の人事評価に、生徒の学力を測る目的で府や市が実施している独自テストの結果を反映する方針を固めたとの報道があった。

 評価に使われるのは、「学力経年調査」(小3~6年生対象)と、「チャレンジテスト」(中学生対象)。両テストの学校ごとの結果を校長の人事評価の20%分に反映させるとともに、賞与の半分程度を占める勤勉手当の評価材料として使うそうだ。

 また、2020年度からはテストの結果に応じて割り当てる特別な予算として年間1.6億円を用意。成績が向上した学校に配分することで学校間の競争を促すのが狙いだ。

 要するに、“ニンジンぶら下げ方式”。…ふむ。大阪って、ホントに好きね、というのがこの件に関する個人的な率直な感想である。

 「大阪」といえば、全国学力テストの成績が2年連続で全国最低レベルに低迷した08年、当時の橋下府知事が学力テスト結果の公表を巡って「クソ教育委員会」と暴言を吐いたり、「このざまは何だ!」と罵声を浴びせたり、ついには「教育非常事態宣言」を出して学校教育に介入したりと、すったもんだがあった。松井一郎府知事になってからも、学力テストが実施される直前に、「来春の高校入試の際に提出する内申点に、全国学力テストの学校別結果を反映させる!」と突然発表する “事件”もあった。

 当時、知事が唐突にぶら下げた“ニンジン”に、現場の先生たちはてんやわんや。急遽過去の問題などを子どもたちに配布したり、「最後まで諦めるな!」と尻を叩いたり、そりゃあもう、大騒ぎだった。

 結果的には、「やればできることがはっきりした」と松井知事がドヤ顔したとおり、それまで、全国で下位に低迷し続けていた屈辱を晴らし、大躍進を遂げた。

 が、所詮、“ニンジン”は“ニンジン。文部科学省が「学力テストの趣旨を逸脱している」と“ニンジン方式”を禁止したことで、翌年には、中3の国語、数学の平均正答率がいずれも全国平均を下回り、空白の解答欄も目立つなど、残念な結果に。快挙はわずか一年で幕を閉じてしまったのである。

 で、今回。再び大阪、いや、正確には「大阪府」ならぬ「大阪市」で、吉村洋文大阪市長が、「おい、おい、おい!! このざまは何だ! 学力テストの平均正答率が、全国の政令都市で最下位! ビリ、ビリだよ! う~~~ぅ、ニンジンだ! そうだ。あのときもニンジンぶら下げたら大躍進したよね? 子供にぶら下げちゃダメっていうなら、教員にぶら下げろ!」(あくまでも個人的な妄想に基づく仮想発言です)と狼煙を上げ、校長先生に白羽の矢が立ったというわけ。